テスト工数の見積もりと管理のベストプラクティス
ソフトウェア開発においてテストは重要ですが、なるべく工数は下げたい(最適化したい)と考えるでしょう。テスト工数が膨れ上がって、プロダクト開発に工数を避けなくなってしまうのは問題です。そこで大事になるのが、テスト工数の適切な見積もりと管理です。
テスト工数を過小に見積もると、テストフェーズを圧迫して十分なテストができなくなります。逆に過大に見積もってしまうと、設計や実開発フェーズに影響を与えて、全体のスケジュール管理が難しくなります。
本記事では、テスト工数の見積もりと管理におけるベストプラクティスについて解説します。適切な見積もりと管理は、プロジェクト全体の効率を向上させ、品質の高いソフトウェア開発を実現するでしょう。
最適なテスト工数の比率
テスト工数を見積もる際に必要な要素は、プロジェクトの規模や複雑さ、テスト対象になるソフトウェアの性質を考慮する必要があります。そして、テスト工程は一つだけでなく、ユニットテスト、インテグレーションテスト、システムテストなどのフェーズがある点も注意が必要です。成果物に対して高品質を求めるほど、テストケースが多くなり、テストシナリオも複雑になります。
最適なテスト工数の見積もりに際しては、過去のデータや経験も大事になります。過去のプロジェクトにおけるテスト工数のデータを収集し、さらに品質(不具合の数や重要度)に関する分析を行います。そして、類似プロジェクトと比較することで、より正確な見積もりが可能になります。
もう一つ考慮したいのがリスク評価です。新しい技術の採用や未経験な領域に関するプロジェクトは、リスクが高くなります。リスクが高ければ、テスト工数も増やさなければなりません。リスク評価を基にした調整によって、プロジェクト進行のバッファを確保し、予期せぬ問題発生による遅延や対応を最小限に抑えられます。
あくまでも一例ではありますが、プロジェクト全体の工数は以下のような比率で見積もるのが一般的です。これは一般的な考え方であり、リスク評価やプロジェクトの特性によって変更します。
- 設計: 20%
- 開発: 40%
- テスト: 30%
- その他(リスク管理、コミュニケーション、ドキュメント作成など): 10%
テスト工数管理のベストプラクティス
テスト工数の管理はテスト計画やスケジューリング、フィードバックの手法など、様々な要素を組み合わせて行われます。こうした要素を適切に組み合わせてテスト工数の最適化を実現させ、プロジェクト全体の効率を向上させます。
テスト計画ではテストの目的や範囲、テストケースの一覧、リソースの割り当てを定義します。また、スケジューリングは各テストフェーズの開始日と終了日を決め、プロジェクト全体とスケジュールと照らし合わせて設定されます。この際、開発チームとの連携が重要になり、スプリントごとの進捗に応じた柔軟な調整が重要です。
フィードバックの手法についても確認が必要です。レポートとして提出する場合もあれば、プロジェクト管理のチケットで登録するケースもあります。また、レポートのフォーマットや報告すべき内容もプロジェクトによって異なるため、適切なフィードバックの手法を周知しましょう。テスターによってフォーマットがバラバラであると、フィードバックの効果が薄れてしまいます。
また、フィードバックではテスト全体を通して得られた知見や改善点も共有します。そうすることで、次回以降のプロジェクトでの見積もり精度向上につながり、テストプロセスの効率化を実現できます。
最後に、プロジェクトマネージャーとしての役割と責任も、テスト工数管理において欠かせません。プロジェクト全体の進捗を見つつ、必要なテストリソースを確保します。また、開発の進捗に合わせてスムーズにテストフェーズに入れるように、あらかじめ調整が必要です。リスク管理の視点から、テスト後の修正にかかる工数も確保し、プロジェクト全体の成功に貢献します。
自動化によるテスト工数の削減
テスト工数削減に最も大きく寄与する手法の一つが、テスト自動化です。テスト自動化ツールを導入すれば、反復作業を自動化でき、テスト工数を大幅に削減できます。テスト自動化によって、主にテストケースの実行や結果の記録、レポートの作成などが自動化されます。
この際、課題になるのはツールの選定と導入、そして運用です。選定は、プロジェクトの特性やテストの種類、チームのスキルセットに応じたツールを選ぶ必要があります。たとえばWebアプリケーションとスマートフォンアプリ、デスクトップアプリなどによって最適なツールは異なります。また、業務システムとゲームでは求められるテストの種類や頻度も異なるでしょう。
テスト自動化ツールの導入は、一定の学習コストが必要です。プロジェクトが佳境になった段階では、ツールを学習する工数を確保するのは難しいでしょう。なるべく学習コストが低く、事前に導入試験ができるツールを選ぶべきです。
そして運用という観点においては、テストのメンテナンスが課題です。テストは一度作ったら終わりではなく、システムの変更に応じて繰り返し実行されます。その中にはテストが通らなくなって、修正が求められる場合も多いです。そうしたメンテナンスが増えると、徐々にテストスクリプトの修正に時間がとられ、効果的な開発が難しくなります。
バルテスの提供するテスト自動化ツールであるT-DASHは「誰でもカンタンにテスト自動化ができる時代へ」をコンセプトに、学習コストを最小限に抑え、容易に導入できるローコードツールを提供しています。メンテナンスも容易で、運用も見据えたテスト自動化ツールとなっています。ぜひ導入を検討してください。
まとめ
テストフェーズはプロジェクトの品質を左右する大事なフェーズであるにも関わらず、設計や管理が適切ではない場合が散見されます。テスト工数の見積もりと管理を適切に行い、高品質なプロダクトを提供しましょう。
テスト工数の見積もりは正解がある訳ではなく、経験やこれまでのデータを基に判断されることが多いのが現状です。そのためにも、プロジェクトでテスト工数の見積もりと結果測定を繰り返し行い、精度の高い見積もりを目指してください。
誰でもカンタンにテスト自動化ができる時代は、すぐそこまできています。当サイトでは、テスト自動化ツールに興味のある方へ、「テスト自動化 推進ガイドブック」と「テスト自動化ツールT-DASH 基本ガイドブック」のダウンロード資料をご用意しております。ぜひダウンロードいただき、資料をご覧ください。
またテスト自動化ツール「T-DASH」を無料でトライアル利用できる環境もご用意しています。ぜひ、お試しいただき、ツールを活用したテスト自動化に挑戦してみてください。