ローコードテスト自動化ツール T-DASH

Windowsアプリをテスト自動化するメリットとデメリット 

Windowsアプリやデスクトップアプリのテストは、品質保証の重要な要素です。テスト自動化は、効率性や信頼性の向上、バグの早期発見など多くのメリットを提供します。しかし一方で、初期投資や維持コストなどのデメリットも存在します。そこで本記事では、Windowsアプリのテスト自動化のメリットとデメリットについて解説いたします。 

Windowsアプリのテスト自動化とは?

Windowsアプリやデスクトップアプリはその使い勝手の良さから、オフィス環境から製造業、教育、医療、金融といった幅広い業界に至るまで、業務の中核を担うシステムとして組み込まれています。その多様性と広範囲にわたる使用は、アプリケーションの品質管理を一層複雑なものにしています。 

各アプリケーションが特定の業界やタスクに最適化されているため、その性能と安定性を維持し、常に信頼性の高い状態を保つ必要があります。Windowsアプリの品質担保の手段として、テスト自動化があります。本記事ではデスクトップアプリ も含んだ意味として、Windows アプリに表記を統一し、テスト自動化のメリットとデメリットに触れて解説していきたいと思います。 

Windowsアプリのテスト自動化のメリット

Windowsアプリのテスト自動化のメリットに関しては大きく3つあります。 

1.リリース作業の効率化 

WindowsアプリはWebアプリと違いデプロイすればすぐ修正適用できるものではありません。インストーラーの再配布、アップデートをする必要があります。そのため、修正が増えれば増えるほど、ユーザーの手間が増えることになり、ユーザーの信頼と満足度の視点からもリリース前の確認テストが重要になります。 

リリース前テストを自動化しておくことでリリーススピードの向上と品質が担保できます。開発ライフサイクルにテスト自動化を組み込むことで安定した品質管理プロセスを確立し、リリース後のトラブルを最小限に抑えられます。 

2.多様なテストシナリオの実施 

Windows アプリは販売・生産管理システム、会計システム、行政システムなど幅広い業務システムによく使用されています。入力のパターンによって変わるシナリオなど業務フローのパターンは膨大で人手の介入によるテストでは網羅するまでに多大な時間とコストがかかります。 

繰り返し実行される複雑なテストシナリオをテスト自動化することで、時間とコストを削減し、テストの一貫性と効率を高められます。また、テスト自動化特有のデータ駆動型テストを活用することで幅広いバリエーションテストが容易に実施できます。 

3.ヒューマンエラーの削減 

Windowsアプリは特に業務用途において多用されます。そのユーザーインターフェースは入力フィールドやフォームが豊富で、細かなビジネスルールに従って構築されます。このようなアプリケーションでは、繰り返しのデータ入力や同様の操作パターンが多くなるため、手動でのテストプロセスではヒューマンエラーが発生しやすくなります。自動テストを導入すれば、これらの反復的なタスクを機械が行い、ミスを大幅に減らすことができます。 

また、一般的なテスト自動化ツールには、スクリーンショットの取得機能があります。テスト実行時の画面状態を記録することが可能です。スクリーンショットにより、テスト結果の確認が容易になるだけでなく、エビデンスの収集が自動化されるため、エビデンスの漏れや記録ミスを防ぐことができます。特にリリース前の最終確認や品質保証の観点から非常に価値があります。 

Windowsアプリのテスト自動化のデメリット 

Windowsアプリのテスト自動化のデメリットに関しては大きく3つあります。 

1.Windows アプリのフレームワークとテスト自動化ツールの相性問題

Windowsアプリ開発には様々なフレームワークが存在し、それぞれ異なる用途や開発スタイルに合わせて使用されます。 

例:.NET Framework、.NET Core、WPF (Windows Presentation Foundation)、Windows Forms、UWP (Universal Windows Platform)、Xamarin.Forms、Electron 

マイクロソフトのWPFは、業界内で広く受け入れられており、その結果として多くのテスト自動化ツールがサポートを提供しています。 

これに対し、クロスプラットフォーム開発フレームワークであるXamarin.FormsやElectronは、その普及がWPFほど広くはないため、テスト自動化ツールの対応が追いついていない状況が見られます。その理由は、これらのフレームワークが様々なプラットフォーム上で動作する複雑な環境を作り出すため、自動化ツールの開発者が対応するのに追加の労力が必要となるからです。 

その結果、Xamarin.FormsやElectronを使用する開発者は、適切なテスト自動化ツールの選択肢を見つけるにあたり、さらなる調査と工夫が必要になることがあります。 

2.フルカバレッジの誤解 

前述したように、Windowsアプリの開発においては、豊富なフレームワークとそれに伴う多彩な機能が特徴です。フレームワークは独自のコントロールやイベントモデルを持っており、テスト自動化ではこれらの要素を正確に理解し操作できる必要があります。 

しかし、Windowsアプリのテスト自動化を行う際には、フレームワークの豊富さと機能の多様性が逆に課題となることがあります。異なるフレームワークやバージョンでの動作の違い、特有のUIコントロールへの対応など、テストを設計し維持することが複雑になるのです。 

そのため、開発プロセスが進むにつれ、新たなフローが加わるたびに、これらの特性を考慮に入れたテストスクリプトの更新が必要になります。 

この状況は、「フルカバレッジの誤解」とも密接に関連しています。自動テストが全てのテストシナリオをカバーしているという過信は、特にWindowsアプリのように複雑性が高いケースで問題を引き起こす可能性があります。 

自動化は多くの反復的なタスクや基本的な機能テストには非常に有効です。しかし、クリエイティブな探索的テストや新規フレームワークの特性を考慮したケースの検証などでは、手動テストの補完が必要な場面も多く存在します。 

3.メンテナンスの複雑化

開発プロジェクトが進行するにつれて、業務フローのパターンが増加すると、テスト自動化のプロセスがより複雑になる傾向があります。これは、新しい機能や変更点が加わることで、既存のテストスイートが継続的に拡張・調整される必要があるためです。 

特に、大規模で多様なテストケースを含むテストスイートを管理する場合には、その複雑さは管理の難易度を一層高めます。 

このような環境では、テストケースと自動化スクリプト間の乖離が起きやすくなります。 

つまり、アプリケーションの変更にテストスクリプトが追従できず、時としてメンテナンスが現実的に不可能になることさえあります。 

まとめ

「Windowsアプリをテスト自動化するメリットとデメリット」と題して、ご紹介してまいりました。Windowsアプリのテストの自動化におけるメリットとデメリットがご理解いただけたでしょうか。 

テスト自動化のメリットとデメリットを考慮した上で、Windowsアプリのテスト戦略を構築することが重要です。手動テストと自動テストを組み合わせて使用すれば、効果的な品質保証を実現できます。組織やプロジェクトの要件や制約を考慮し、バランスを取りながら、適切な自動化レベルを決定し、テスト効率と品質の向上を目指しましょう。 

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