導入事例
リンクウィズ株式会社 目視確認からの脱却でテスト工数75%削減 ── 1人でも回る体制を支えるT-DASH

リンクウィズ株式会社は、産業用ロボットの検査・制御システムを開発・提供する企業です。同社が提供する「LINKWIZ FACTORY CLOUD」は、ロボットの検査結果や稼働データをクラウド上で可視化し、品質管理や原因分析を支援するWebアプリケーションです。
同サービスの開発においては、専任のテストエンジニアがいない中、手作業による画面確認やExcelでの管理に依存しており、工数や精度の面で課題を抱えていました。そこで同社は、テスト自動化ツール「T-DASH」を導入。現在では、1人で128件のテストケースを管理しながら、効率的かつ高精度なリグレッションテストを実現しています。
本記事では、ソリューション開発チームの塚本さんに、T-DASH導入の背景や具体的な活用方法、そしてテスト体制や品質にどのような変化があったのかについて伺いました。
産業ロボットのデータを扱うWebアプリのテストにT-DASHを活用
—T-DASHをどのシステムのテストで利用していますか
塚本さん:
「LINKWIZ FACTORY CLOUD」というWebアプリのテストに利用しています。当社は産業ロボット検査システム「L-QUALIFY」とロボットコントロールシステム「L-ROBOT」を提供しており、 LINKWIZ FACTORY CLOUDはこれらのシステムで取得した検査結果や稼働データをクラウドに蓄積し、Web画面で確認できるサービスです。
品質保証や現場の担当者が、検査結果の確認やNG原因の分析に利用します。

目視確認とExcel管理に限界を感じ、テスト自動化ツールの導入を検討
—T-DASH 導入前のテスト体制と課題を教えてください
塚本さん:
LINKWIZ FACTORY CLOUD 専任のテストエンジニアはおらず、課長と別アプリ担当のテスト専任エンジニア2名がこちらのテストも手伝う形で、合計3名で対応していました。その後、体制の変更もあり、現在は私一人でテストを担当しています。
テストは、手作業でテスト対象画面のスクリーンショットを撮ってExcelに貼り付け、「OK」「NG」を目視で確認するようなやり方でした。当時は画面数が少なかったのでその方法で対応できていた部分もありますが、負担はかなり大きかったです。正直、本当の意味で厳密にテストできていたとは言いづらく、形式的な確認に近かったと思います。
—T-DASHを知ったきっかけや導入の決め手を教えてください
塚本さん:
前任の課長が情報収集していた中で、T-DASHを見つけてきたのがきっかけです。当時のテストは手作業による目視確認が中心で、テストの進め方を何とかしたいという課題感がありました。
開発リソースも限られており、テストのやり方も手探りだったため、テストツールを試してみようという流れでT-DASHを使い始めました。
当時のT-DASHには機能制限つきの無料プランがありました。まずは無料で実際に使ってみて「これなら使えそうだ」と判断できた後に有償プランに切り替えました。他のツールも情報収集はしましたが、まずT-DASHを試してみて、費用感も含めて必要十分な条件を満たしていたので継続したという流れです。

画像比較によるリグレッションテストを構築し、1人でも運用可能な体制に
— T-DASHではどのようなテストを行っていますか。また、実行規模についても教えてください
塚本さん:
LINKWIZ FACTORY CLOUDのフロントエンドにおけるリグレッションテスト(回帰テスト)で活用しています。ログイン画面から各メニュー、グラフ表示、ロボット検査結果画面まで、主に画像比較によってバージョンアップ前後の画面を比較し、表示やボタン操作後の反映が正しく行われているかを確認しています。
テストケースの約9割は画像比較で、例えば期間などの条件を指定してグラフを表示し、そのグラフが崩れていないか、期待したデータが表示されているかを確認します。実際にバグがあるとグラフが崩れることもあり、T-DASHのスクリーンショット比較によってNGとして検出できます。選択条件を変えながら、すべてではないものの、広い範囲をカバーできるようにしています。
現在のテストケース数は128件です。新しく作った画面や機能はまず人手で確認し、その後、次のリリースまでにT-DASHのテストケースとして追加する運用にしています。
テストケースは私一人で管理しています。正直なところ、数が増えると大変ではありますが、一度テストケースを組んでしまえば、あとはT-DASHが実行してくれるので助かっています。これをすべて人手でやることを考えると、かなり厳しいと思います。
テスト工数を大幅削減し、品質とスピードを両立
—T-DASH導入後、テストにかかる工数はどのように変わりましたか
塚本さん:
以前はテストチームから2週間程度のテスト期間が必要と言われていました。テストは2名体制で対応していたため、トータルでは1人月ほどの工数がかかっていました。
T-DASHを導入してからは、手戻りがなければ0.25人月もかかっていません。T-DASHではすべてのテストケースの実行に2〜3時間ほどかかりますが、仕事終わりに実行しておけば、翌朝には結果が出ています。問題がなければ、結果レポートをそのままエビデンスとして社内共有し、リリース判断にも活用しています。
—T-DASHを導入して良かった点を教えてください
塚本さん:
一番大きいのは、自分のペースでテストを進められることです。テストチームに依頼する場合は、そのチームの業務状況を考慮してリソースの交渉をしなければなりません。しかしT-DASHであれば、自分の任意のタイミングで実行できます。
次に、コスト面でもメリットがあります。必要なのはT-DASHのライセンス費用と、テスト実行用のPCのみです。現在は私一人でテストを担当していますが、私自身のメイン業務は新規開発のため、テストに多くの時間を割くことは難しく、テスト人員を増やすことも簡単ではありません。 T-DASHにテストを任せられるようになり、限られたリソースでも効率的にテストを進められるようになりました。
また、品質面でも効果を実感しています。人の目では追いきれない小さなバグを見つけられるようになったことが大きいです。以前なら見過ごしていたような数ドット単位の表示ずれも検出できるため、それが許容範囲なのか、修正すべきなのかを判断できるようになり、「厳密にテストしている」という感覚があります。 すべてを直すのではなく、バグを把握したうえでリリース判断ができるようになった点もメリットです。

試行錯誤を経て運用を確立、今後はさらなる開発スピード向上へ
—T-DASHを使ううえで苦労した点はありますか
塚本さん:
最初にテストケースを作るところは苦労しましたが、前任者がログイン動作や、失敗してもテストを続ける設定など、当社アプリのテストに合わせたカスタム動作を作ってくれていたので、それを活用できたのは助かりました。
ただ、自分が最初から作るとなると、そこまでたどり着けなかったかもしれません。最初は手探りの部分もありましたが、チュートリアルを読みながら試行錯誤して、徐々に使い方を習得していきました。基本的な使い方はチュートリアルに網羅されていたため、問い合わせは特にせず、チュートリアルを何度も読みながら、何とか使えるようになったという感じです。
慣れるまでのハードルは高かったですが、今ではテストのパターンがある程度決まっています。新しく画面が追加されても、既存の類似テストケースをコピーして少し修正すれば、すぐにテストケースを追加できるようになりました。
—今後改善されると嬉しい点はありますか
塚本さん:
今は慣れてしまったので、大きな不便はあまり感じていません。ただ、欲を言えば、チュートリアルページに、チャット形式で質問できる機能があると便利だと思います。
—今後のT-DASHの活用について教えてください
塚本さん:
LINKWIZ FACTORY CLOUDは現在、1カ月から3カ月程度の間隔でバージョンアップを行っていますが、今後は開発スピードをさらに上げ、高頻度でのリリースを目指しています。
その際には、リグレッションテスト(回帰テスト)の重要性もさらに高まります。限られた人数でも品質を担保しながら開発を進めるために、T-DASHは今後も継続して活用していきたいです。
取材にご協力いただいた方

リンクウィズ株式会社
開発課 ソリューション開発チーム
塚本雅海 様
大学では機械工学を専攻し、卒業後はタイヤメーカーで現場エンジニアとしてものづくりに従事。その後、ガラスメーカーや自動車エンジン用ベアリングメーカーでの勤務を経て、フリーランスとしても活動。そうした中で、「ものづくりのためにITを活用する」という考えに共感し、リンクウィズに入社。ソリューション企画から要件定義、テスト、顧客対応まで幅広い業務を担っている。