iOSアプリ開発の品質を向上させるテスト戦略
2026年現在、スマートフォンは日々の生活の中でなくてはならないデバイスになっています。クレジットカードや銀行口座情報など、さまざまな機密情報がスマートフォンに入っており、セキュリティの重要性も高まっています。アプリのクラッシュや不具合があると、ユーザーはアプリへの不信感を抱き、利用を止めてしまうでしょう。そのため、モバイルアプリへの品質に対する要求は非常に高いと言えます。
本記事では、モバイルプラットフォームの中でも特にiOSに焦点を当てて、そのアプリの品質を上げるために考えるべきテスト戦略について解説いたします。テストエンジニアの方はもちろんのこと、アプリ開発に関わるディレクターやデザイナー、プロジェクトマネージャーなどの方も、ぜひご一読ください。
テスト戦略の基本概念と重要性
テスト戦略とは、アプリケーションの品質を確保するための方針になります。テスト戦略を策定することで、開発プロセス全体を通じて品質を維持し、不具合を早期に発見できます。テスト戦略を遵守して開発を進めることで、iOSアプリの品質向上を狙うのが目標です。
テストというと、つい開発の後工程で行われるテスト工程だけが対象だと思われてしまいます。しかし、実際には設計段階から実装段階、リリース後の運用まで含めて横断的に考える必要があります。プロジェクトに関わるメンバー全体が品質について考えることで、より良いアプリを提供できるでしょう。そのため、テスト戦略では開発プロセス全体を捉えて、方針を策定します。
テスト戦略は、テスト計画の立案に先だって行われます。闇雲にテスト計画を作るのではなく、テスト戦略があることで、テスト計画の方向性が明確になります。不要な工数を増やすことなく、効率的にテストを進められるようになるでしょう。
テスト戦略で考慮すべき事項は以下の通りです。
- プロジェクトの目的とスコープを明確にする
- プロジェクトの目的に合わせたテストの種類を選定する
- テストへの工数配分を決める
iOSアプリが常に不具合ゼロでリリースされることは、非常に難しいでしょう。そのため、テストに非常に多くの工数を費やしたとしても、一定の不具合は残ってしまいます。テスト戦略では、目指すべきアプリの品質を定義し、その品質を達成するためのテスト方針を明確にします。
iOS アプリ開発におけるテストの種類
次にテスト戦略時に考えるべき、iOSアプリにおけるテストの種類について紹介いたします。
機能テスト
機能テストは、アプリの機能を対象に行われるテストです。ユーザーがアプリを操作する際に、期待通りの動作をするかどうかを確認します。機能テストは、ユーザーの視点に立って行われます。
ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストでは、ユーザーがアプリを使いやすいかどうかを確認します。そして、ユーザーがアプリを実際に利用する際に、どのような問題が発生するかを確認します。これは、操作性などの観点から行われます。
iOSでは、アプリごとの権限によって利用できる機能や制限が異なります(位置情報やユーザーデータへのアクセスなど)。そのため、異なる設定下においても、アプリが正しく動作するか確認する必要があります。
パフォーマンステスト
パフォーマンステストは、アプリのパフォーマンスを確認するテストです。アプリがどの程度の負荷に耐えられるか、どの程度の速度で動作するかを確認します。パフォーマンステストは、ユーザー体験に直結するため、iOSアプリでは重要なテストです。
互換性テスト
互換性テストは、アプリがさまざまな環境でも正しく動作するかを確認します。iOSはAndroidほど幅広くはありませんが、それでもスペックの違いが広がっています。異なるデバイス、OSバージョンなどで動作を確認します。
セキュリティテスト
セキュリティテストは、アプリのセキュリティを確認するテストです。セキュリティテストでは、ユーザー情報の保護や不正な利用に対して適切なセキュリティを維持できているかを確認します。
ネットワークテスト
ネットワークテストは、アプリのネットワーク環境が異なる状態でも動作が正しく行われるか確認します。モバイルネットワーク、WiFi、オフライン、VPNなど、さまざまな状況での動作を確認します。
インストールとアンインストール
アプリをはじめてインストール、または再インストールした際、アップデートした際などでアプリのデータが正しく利用できるかを確認します。また、アプリをアンインストールした際に、不要なアプリのデータが残らないかどうかも確認します。
バックアップとリストア
アプリがバックアップ機能を備えている場合には、そのデータが正しく復元できるかを確認します。異なるバージョンのデータを読み込めるようにするか、もし不整合が出てしまった場合にはどうするかも決めておく必要があります。
アプリ内課金を利用している場合には、再インストールした際に、リストアして課金状態を復元できるかを確認します。
ローカリゼーションのテスト
iOSでは、OS全体で言語設定を行います。アプリによっては、内部的に言語設定を備えているものもあります。いずれにせよ、iOSアプリの多くはグローバルに配信されますので、言語設定が正しく反映されているかの確認が必要です。
iOSアプリのテスト環境構築のポイント
iOSアプリにおけるテストは、XcodeやiOSシミュレータ、そして実機を使って行います。そして、XcodeやiOSシミュレータはmacOS上でのみ動作します。こうした環境構築に制限があるのが特徴になるでしょう。
シミュレータでは、位置情報やネットワーク環境などをシミュレートしてテストできるのがメリットです。しかし、実機とは異なり、カメラや加速度センサーといったハードウェアに依存する機能や、プッシュ通知、Touch IDやFace IDなどの生体認証を用いたテストはできません。このようなテストをしたい項目によって、シミュレータと実機を使い分けてテストを行います。
また、前述の通りiOSにおいても実機の種類が増えており、それによって利用できる機能や画面サイズなどのスペックが異なっています。そうした実機に対応して、テストを行わなければなりません。特に最新機種でしか使えない機能を提供する場合には、それ以外の端末での動作確認も必要でしょう。
実機テストについては、バルテスの提供するAnyTestや、リモートデバイスファームなどの選択肢があります。こうしたサービスでは、実機をクラウドサービスから利用可能で、手元に実機を用意せずにテストを行えます。
効率的なテスト自動化の戦略
テスト戦略を考える中で、テスト自動化は欠かせません。テスト自動化は、テスト工数を削減し、品質を向上させるための重要な要素です。テスト自動化を整備することで、繰り返し行うテストを自動化し、人的ミスの軽減を期待できます。
テスト自動化ツールを選定する際には、以下の点に注意しましょう。
- テスト対象のアプリに対応しているか
- テスト自動化のスクリプトが書きやすいか
テスト対象のアプリに対応しているか
たとえば、iOSアプリの言語・フレームワークによって選択肢が異なります。iOSアプリが開発できるプログラミング言語・フレームワークとしては、SwiftやFlutter、React Native、Cordovaなどがあります。それぞれに適したテスト自動化ツールがあります。
また、アプリの種類がゲームかそれ以外かでも異なります。ゲームであればUnityやUnreal Engine、Godotなどのゲームエンジンを使っているかもしれません。それによっても選択肢が異なります。
テスト自動化のスクリプトが書きやすいか
テスト自動化のスクリプトは、テスト対象のアプリの挙動を再現するために書かれます。そのため、テストスクリプトの書きやすさによって、導入コストや運用コストが大きく増減するでしょう。スクリプトが複雑であったり、書き方がわかりにくいとテスト自動化の効果が薄れてしまいます。
また、テストエンジニアにしか書けない(エンジニアリングスキルが必要)ツールであると、テストスクリプトの作成者が限られてしまいます。プロジェクトの関係者であれば誰でもテストスクリプトを書いたり、メンテナンスができるツールを選ぶと良いでしょう。
まとめ
今回はiOSアプリを開発する際のテスト戦略について解説しました。プロジェクトの目的を明確にし、チーム全体で品質目標を共有することが重要です。また、テスト自動化を導入することで、テスト工数の削減と、アプリの品質向上を狙えます。
ぜひ、テスト戦略を策定し、iOSアプリの品質向上に取り組んでください。
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