サテライト型シェアオフィスの予約入退館システムにおいて、
無人での安定運用を可能にする品質保証のベースができました。
「無人運営」サテライト型シェアオフィスサービスを開発・展開
:サテライト型シェアオフィス『H¹T』の特徴を教えてください。
:サテライト型シェアオフィス『H¹T』の特徴を教えてください。
吉田 様:
『H¹T(エイチワンティー)』は、野村不動産が2019年10月にスタートした新規事業です。働き方改革や、東京オリンピック開催時の都内の混雑緩和といった社会課題に対し、不動産事業者が提供するソリューションのひとつとして、必要なときに必要なだけ使っていただける完全従量課金型のサービスとして誕生しました。
『H¹T』最大のポイントは「無人運営」であることです。無人で店舗を運営するために、電子錠などさまざまなICT技術を活用しています。電子錠には、株式会社Photosynth(フォトシンス)の『Akerun入退室管理システム』を採用しました。これと当社が開発した『H¹T予約システム』を連携させることで、オフィスの予約から入退室時の電子錠管理、そして請求まで一気通貫での管理運営を実現しています。
:「完全無人化」となるとシステムやセキュリティ対策は、高度で複雑なものになっていきますね。
:「完全無人化」となるとシステムやセキュリティ対策は、高度で複雑なものになっていきますね。
吉田 様:
おっしゃる通り、複雑になっています。くわえて、2021年6月時点で、『H¹T』にご契約いただいている会社数が1,300社で、会員数は13万人を超えました。このように非常に多くの方々にご利用いただいていることもあり、システムのトラブルには迅速に対応する必要があります。そのため、システムトラブルが起きないよう、日々注意して開発・運用に取り組んでいます。
:『H¹T』プロジェクトに、吉田様はどのような役割で参加されておられますか?
吉田 様:
2020年4月からプロジェクトに参画しており、役割は大きく二つあります。ひとつが予約システムです。システムのリリース毎に、課題確認、改修状況、バグ検知について確認し、開発を統括しています。
また、『H¹T』の特長は、野村不動産が自ら開業した直営店だけではなく、シェアオフィス事業を行っている他の事業者とも提携して店舗ネットワークを拡大していることです。一部の提携企業とは『H¹T』の会員を先方に送客するだけではなく、提携企業のサービス会員が『H¹T』を利用できる相互送客を実現しています。この相互送客のために、H¹Tの予約システムと提携企業の予約システムとで連携を行っています。
例えば、H¹T利用者は『H¹T』の予約画面から『H¹T』も提携店もどちらのオフィスも予約することができるわけです。なお、請求についても、H¹Tのみならず提携店のサービスをご利用になった金額も含めて1枚の請求書を発行するシステムになっています。私のもうひとつの役割は、この企業間提携を推進していくことです。
バルテスの第三者検証サービスを導入した経緯
:先進的な『H¹T』システムの開発・運用にバルテスの第三者検証サービスをご利用いただく前、どのような課題を持っておられたのでしょうか?
野村不動産 都市開発事業本部
ビルディング事業三部 吉田 篤史 様
:先進的な『H¹T』システムの開発・運用にバルテスの第三者検証サービスをご利用いただく前、どのような課題を持っておられたのでしょうか?
吉田 様:
多くの提携企業と会員にご利用いただくことを前提にしたシステムですので、システムエラー等による利用停止などでご迷惑をおかけするわけにはいかないと考えていました。口にすると当たり前のことですが、問題なく鍵が開いてオフィスを継続してお使いいただくために、責任を持ってサービスを提供していきたいとの想いが強くありました。
その想いから、システム開発チーム体制を強化及び見直しを行い、第三者にその成果物のテストをしてもらって、しっかり検証結果を踏まえた上でサービス運営していきたいと考えていました。
:そのころ、バルテスの第三者検証サービスをお知りになったのでしょうか?
吉田 様:
実は、当社は『H¹T』以前にもバルテスに検証をお願いしたことがあります。当社には『H¹O(エイチワンオー)』という、クオリティスモールオフィスと呼ばれる賃貸借契約となるサービスオフィスがあります。この『H¹O』の検証をバルテスに依頼し、社内での評価がとても高かったこともあり、『H¹T』検証でもお声がけさせていただきました。
:『H¹O』のとき、御社はどのようにしてバルテスのことをお知りになったのですか?
吉田 様:
2019年の『Japan IT Week 春』でバルテスとつながりができ、『H¹O』のテストについて当社が相談したのがはじまりだったと聞いています。
『H¹O』は、野村不動産として初めてのIoTへの取り組みでした。新規事業にIoTの機能を付与していくにあたって、当時、社内でソフトウェア品質を検証する手法が確立できておらず、大規模IoTシステムの品質担保が課題になっていました。
バルテスに『H¹O』の検証を依頼したのは、慎重に良いサービスをリリースしたいという当社の想いに応え、難易度の高い検証をしていただけると担当部署が判断したからです。そして、バルテスがIoTシステムの受け入れテスト計画を立て、実施することで、当社の品質保証のベースができました。この点を当社は評価しています。
:『H¹O』のテスト計画と検証を評価していただいたことが、『H¹T』につながったのですね。
吉田 様:
そうなります。当然、『H¹T』でも「テスト会社をどこにするのか?」といった議論はありましたが、『H¹O』での実績や、バルテスの強みを考えて、ぜひお願いしたいということになりました。
:どのような点をバルテスのメリットとして評価されたのですか?
吉田 様:
まず、バルテスはテスト専業企業で、実績が豊富であるということです。そして、コスト的に見て強さがありました。
国内でテストを精緻に設計後、テスト人員のいる海外でテストを実施することで、低コストを実現する一方、結果を国内に戻して、吟味した上で当社に報告をしてくれることから、高い安心感がありその点を高く評価しました。『H¹T』は新規事業であったため、テストにおける品質とコストのバランスも重要視していました。
:御社のように知名度、注目度が高い企業がIoTシステムをリリースされる場合、もし何か不具合があったら、大きく報道されてしまう可能性もあります。そういったことへの対策として第三者検証を使うメリットがあるという考えはあったのでしょうか?
吉田 様:
ありました。私たち野村不動産は総合デベロッパーであり多領域でビジネスを展開していますが、システムのプロではありません。さらに申し上げるなら、テストのプロではないということです。その点を踏まえ、バルテスのようにテストを専門にしているプロのチェックを受けながら、安心してご利用いただけるサービスを提供していきたいと考えています。
:バルテスを選定されるにあたり、他にポジティブに評価された部分はありますか?
吉田 様:
フットワークが軽く、すぐに動いてもらえる印象があります。今後の期待も含めて、この点は素晴らしいと思います。『H¹T』は、アジャイル型の開発スタイルを採っているということもあり、お客様の要望を即時反映させていくのが事業者側の想いです。
今、伸びている事業で、今期はさらに加速していきます。早いリリースに伴って必要なテストのスピードも上がり、総量も増えていきますので、引き続きよろしくお願いできればと思います。
「網羅性のこだわり」が、安心と信頼感につながっている
:バルテスの第三者検証サービスをご利用いただいて、実際にどのような効果を感じられたか教えてください。
:バルテスの第三者検証サービスをご利用いただいて、実際にどのような効果を感じられたか教えてください。
吉田 様:
『H¹T』の実際の開発は、他のシステム会社にお願いしています。そのため、私たち野村不動産と開発会社、テスト・検証を担うバルテスとで、情報の連携を確実なものにしていかなければならないと考えています。
情報の共有には『Backlog』を採用していますが、ここにバルテスから上がってくるテスト内容は、非常に精緻なものです。ある意味「細かすぎる」ともいえますが、事業者としては、しっかり見てもらっている安心感があり、信頼につながっています。セキュリティ診断等々もやっていただいており、広くシステム全体を見ていただいて、ありがたいと思っています。
:先ほど、海外でのテストの話がありましたが、実際にオフショアを利用されて、それを意識されることはありましたか?
吉田 様:
普段は全くありません。オフショアを感じるのは、月次のレポートの中に海外の方の名前を見たときくらいです。それと、テストスケジュール確認の際に、海外の休日のタイミングでテストが実施できなくなることがあると聞いて意識することはありますが、テストの品質などで特段感じたことはありませんね。
システムを活用した新規事業に柔軟に対応してくれる
:バルテスと一緒に仕事をされてみた感想をお聞かせください。
吉田 様:
はい。先ほども申し上げたことですが、しっかり細かくテストしてくれます。そして、事業者・野村不動産と同じ方向を向いて、やってくれている印象を受けています。今後も『H¹T』事業を拡大していきますので、システムにおけるテストについては、引き続きお力を借りたいと思っています。
:今後、目標とされていることやバルテスに依頼したいと考えていることを教えてください。
吉田 様:
バルテスから提案してもらっている、テストの自動化です。少ない人数でより高度なテストを回していける体制にしていきたいと思っています。
現在、『H¹T』のシステムをより利便性の高いものへと進化・拡大していくことを構想しています。『H¹T』事業が無人化を狙ったのは、コストを抑えて運営していくことにあります。サービスのコストを抑えることで、利用者の皆さまに、割安で永続的に使っていただきたいと考えているためです。そのためにも、テスト自動化によって、テスト効率改善が期待できるのであれば、前向きに検討していきたいですね。
:現在バルテスの第三者検証サービスの利用を検討している企業にアドバイスをお願いします。
吉田 様:
私たちのようなシステムを本業としない企業が、新しくITを活用した事業を展開していくケースにおいて、バルテスは非常に柔軟に対応してくれます。事業者のニーズとコスト、テスト内容とのバランスを取るという観点から見て、バルテスは素晴らしいと思うので、推薦させていただければと思います。