
安心安全で高品質なシステム構築のための
第三者検証支援とは
「デジタル庁」内のプロジェクト横断チームへ第三者検証支援
:はじめに、皆様の取り組みであるクオリティサポートについて教えて下さい
椎野様:
デジタル庁は“誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を”をミッションとして掲げています。クオリティサポートは、人に優しい、つまり「安心安全で使いやすい高品質なシステム」のためのプロジェクトを横断した専門家による技術支援の取り組みです。
鈴木様:
私はクオリティサポートの立ち上げに携わっているのですが、多数の開発プロジェクトが走っているデジタル庁において、プロジェクト毎の課題や様々な方面のリスクに対して専門家の意見を聞きたいという場面が出てきます。そこで横断的にサポートをできるようにこの取り組みを立ち上げました。
鶴岡様:
クオリティサポートの一員として活躍している専門家は様々です。例えば、私は品質部分を担当していますが、その他にもセキュリティやガバナンス、サービスデザイン、アクセシビリティ、調達などの専門家も活動しています。
デジタル庁で初めての試み。
開発とは別軸で、テスト専門のリソースを確保
:デジタル庁で初の試みとなった、本調達「デジタル庁システムに対する第三者検証業務」における背景を伺えますでしょうか?

鈴木様:
クオリティサポートの庁内への支援メニューとして専門家としての助言だけでなく、もう一歩踏み込んでデジタル庁の各プロジェクトの品質向上に寄与していきたいと始めたのが第三者検証でした。
これは、システムの開発は開発事業者に設計開発から運用まで委託することが多々ありますが、開発事業者から納品されるシステムの受入テスト支援を行うというものです。
クオリティサポート担当者だけでテストをするのはボリューム的にも限界があるため、第三者検証のチームを構築するという形でこの調達を介してバルテスと協力して取り組んでいます(*)。
(*)契約期間:令和6年4月1日~令和7年3月31日
:「第三者検証」において期待される効果は何でしょうか?

椎野様:
大きく2点あります。1点目ですが、テストの工程はプロジェクトの進捗によっては予定よりも短い期間で対応することが多々あります。第三者検証として、開発とは別軸で動けるチームがいることで、開発と並行してテストの準備を先行するなど、開発スケジュールの影響を受けずに品質を高めることが期待できます。
2点目として、外部専門家によるテストを行うことで専門家ならではの不具合を検出する観点や、客観的な指摘を受けられると判断しました。
鈴木様:
設計・開発に携わった人たちが、自身が作ったシステムをみて間違いに気付くのは非常に難しいものです。「第三者」という言葉の示すように、第三者として客観的に意見や改善をしてほしいと考えていました。
より安心安全で高品質なシステム構築のため
第三者検証は客観的な視点からの指摘を得られる
:バルテスの第三者検証サービスを利用して、実際にどのような効果を感じたか教えて下さい。
竹林様:
一つ例を出すと「マイナンバーカード対面確認アプリ」の第三者検証などをお任せしたのですが、臨機応変かつ柔軟に対応していただけました。
鈴木様:
今回は社会問題となっていたマイナンバーカードの券面偽造を防止すべくスピード感が重視される中、短い期間内で様々な面でサポートしていただきました。
竹林様:
また、UI/UXの部分にも効果を感じました。多くの事業者が活用するこのアプリは誰でも感覚的に使える必要がありました。その点、バルテスはUI/UXの領域において体系化されたテスト観点をお持ちだったので改善点を指摘いただきました。利用者を想定してテストが行われることで、新たな発見もありました。
このように相乗効果でシステムの品質を高められたのは、最初にバルテスと1つのチームとしてテストの価値について擦り合わせられたのが大きかったと思います。”誰のため”、”何のため”なのか、今回のプロジェクトの特性を共有してテストにおける重要な視点を合わせられたことで、より良い成果を出せたのではないかと考えています。
:当社の支援についてコメントがありましたら教えてください。
竹林様:
例えば、本来はこちらが指定した資料をインプットしていただくのですが、バルテスは資料をしっかりと確認した上で「その他に、こういうドキュメントがあればより良いテストケースが作れます」と、よりよい品質という視点で、与えられたものの中だけでなくクオリティサポートの立場にたってご提案していただきました。
また、強化テストの追加のご提案もありました。例えばUATにおいて「3日で行ってください」という依頼があったとして、3日間でこれだけ不具合を検出しましたというだけでなく、「テストの結果からするとこの辺を強化テストすれば不具合が検出できそうですよ?」と、より品質を高めるためのご提案をいただいたんです。
その他にも、多端末テストを実施できました。もともと多端末テストは調達条件に含めていましたが、開発の段階でちょうど各社が新機種をリリースするタイミングにぶつかり、テスト要件のため様々な機種が急遽必要になりました。その際、短納期で新機種など多くの端末を用意/検証対象にしていただきました。
:第三者検証サービスの利用を検討している企業/団体へ向けて、アドバイスをお願いします。
鈴木様:
冒頭でもお話しした通り、自身の作ったシステムのミスに気付くのは難しいものです。その点、第三者検証なら客観的な視点で専門家たちにチェックしていただけるので、価値のある取り組みでどんどん行っていくべきと考えています。
椎野様:
そうですね。あとは、開発側のスケジュールと別で稼働できるため、柔軟に動けるのも第三者検証の魅力といえるでしょう。作業を分担できて効率的に動けるのも第三者検証ならではの魅力でしょう。別組織でテストを行えば、開発チームの作業中にテスト設計や修正確認作業を行えますし、テストの準備期間をしっかり確保可能なため品質も担保できます。
鈴木様:
システムの安全性や品質を担保するための一つの手段として、第三者検証という手法は検討してみても良いのではないでしょうか。
取材日:2025/1/16
取材にご協力いただいた方:

デジタル庁
プロジェクトマネージャー
鈴木 啓太 様

デジタル庁
戦略組織グループ 参事官補佐
椎野 純一 様

デジタル庁
プロジェクトガバナンスユニット
鶴岡 絵里子 様

デジタル庁
プロジェクトガバナンスユニット クオリティサポート 品質管理エキスパート
竹林 紀和 様
(オンラインでのご参加)