“テストの資産化”を実現したい、
そのためにバルテスの力が必要だと感じています。
総合的・先進的な投資サービスを提供する
オンライン証券会社『マネックス証券株式会社』
:初めに、マネックス証券様の会社概要についてお教えください。
:初めに、マネックス証券様の会社概要についてお教えください。
竹中 様:
マネックス証券株式会社は、ネット専業のオンライン証券会社です。1999年5月、日本版の金融ビッグバンがあり、株式委託手数料の自由化が話題になっていたタイミングで創立されました。当時、インターネット黎明期だったこともあって、ネットワーク時代に合致した金融インフラを構築し、オンラインによるサービスを提供することを見据えて立ち上げた会社でもあります。
現在、メインとしている商品は日本株や積み立ても可能な投資信託、それから米国株の取引にも強みを持っています。ほかにも、債券や先物オプション、FX、ラップ口座、iDeCoなど、さまざまな商品・サービスを提供しています。
:現在、どのような体制でバルテスのサービスをご利用いただいているのでしょうか?
竹中 様:
当社のシステム開発部門は約130人の社員からなる組織になっていて、その中に開発推進グループがあります。開発推進グループの社員は、グループ長である私と佐藤を含め5人で、派遣社員が2人、さらにバルテスさんを含め協力会社のスタッフが常駐していて、全部で約20人強のチームになっています。
この開発推進グループは、品質保証や開発プロセスの整備、テスト環境の整備と運用など、部門横断的な役割を担っていく部門となります。2020年4月に開発チームから品質保証部門を切り出す形で開発推進グループが誕生し、バルテスさんにはその立ち上げ時から支援してもらっています。
証券基幹システムの内製開発を進める中、
テスト部分に課題があった
:バルテスをお選びいただいた経緯について教えてください。
:バルテスをお選びいただいた経緯について教えてください。
竹中 様:
マネックス証券では、証券会社の業務を動かし、お客様にサービスを提供するため、証券基幹システムを内製開発に切り替える取り組みを2009年から始めました。それまでは、ASPによる外部の開発に頼っていましたが、もっとスピーディーかつ柔軟な対応や、プロダクトアイディアの独自性の確保のほか、ノウハウやナレッジの社内蓄積などを目的として、社内で独自の証券基幹システムを開発し、運用していくやり方に2017年に完全移行しました。
ただ、内製開発の経験を積み重ねる中で、開発自体は成熟してきたといえるのですが、さらにもう一段、システムの品質を高めてお客様により良いサービスを提供することを考えたときに、さまざまなフェーズがある中で、特にテストの部分に万全でないところがあるという問題が浮上してきました。
:当時抱えていた、テストにおける課題とはどのような点でしょうか?
竹中 様:
テストフェーズにおいて大きな課題だったのが、期間やコストをかけてテストをしても、なかなか本番障害が減ってくれないという点です。原因分析をすると、うまくテストで引っ掛けられていれば防げたものも少なくありませんでした。少なくともテストに関しては、内製化による経験則的な改善活動だけでは限界があると感じていました。もっとアカデミックな、体系的なノウハウやナレッジがあれば、このような問題を解決できるのではないかと考えたのです。
そんなとき、当時の上長だった者から、バルテスさんについての情報を聞きました。テストに関する専門会社の力を借りながら、テストを足掛かりにして、品質保証という取り組みをマネックス証券の中でもやりたいと考え、バルテスさんに協力していただくことになりました。
最初はABテストのような形で
バルテスのサービスを導入
:実際にバルテスのサービスを導入するときは、どのようなやり方で始められましたか?
:実際にバルテスのサービスを導入するときは、どのようなやり方で始められましたか?
竹中 様:
内製チームはそれまでどおり開発からテストまでを行い、その横で同じものを対象としたテストをバルテスさんにも任せるというやり方を採用しました。いわば、ABテストのような形です。
結果はかなり好ましいものでした。バルテスさんが出してくれた成果物のクオリティが高く、それをそのまま正式に採用させてもらうなどしたことを覚えています。結局そのプロジェクトでは、途中からは並行してテストするのをやめて、バルテスさんの1ラインで進める箇所もあったくらいです。
体系的なテストメソッドの提供と
柔軟な対応力の両立
:その後の本格導入も含めて、バルテスのサービスの良かった点を教えてください。
:その後の本格導入も含めて、バルテスのサービスの良かった点を教えてください。
竹中 様:
まずバルテスさんは、専門家としてのノウハウやナレッジが多くあり、テストのやり方もしっかりと体系立ったものになっているという点。そこは期待どおりでした。テストケースの作り方やケースの広げ方、観点、資料の作り方など、それまで我々がやっていたのとは異なるやり方がいくつもありました。同時に、内製する上で、我々独自のやりやすい開発の流れができていたのですが、そこにも柔軟に対応してもらえました。
それに加え、プロジェクトの大小によって、どういうところに重点を置きたいかというリクエストにも、柔軟に応えていただいています。アドバイス的な軽いものから、テスト設計・テスト実施まで一気に引き受けて、エンジニアからテストを切り離すといったことまでやっていただいており、それぞれで成果を上げていただいております。
当社の要望に応えて適宜やり方を変えつつ、必要なポイントはしっかりと押さえたテストを実施し、提案ができるというのは、バルテスさんならではの対応力なのかなと思います。
佐藤 様:
バルテスさんには複数プロジェクトに十数人ほど参画してもらっていますが、プロジェクト間でよく連携されているなと感じています。こうしたところも、バルテスさんの柔軟性を裏付けている要素のひとつではないでしょうか。
何かトラブルがあっても、相談すればプロジェクト間で調整して素早く人をアサインするといったことにも対応いただいております。何か問題や課題があったら、臨機応変に対応してくれて、かつ必ずその解決策を示してくれるので、本当に助かっています。
テストの資産化と
品質保証の拡大を進めていきたい
:バルテスのサービス導入後、特に変化したことはありますか?
:バルテスのサービス導入後、特に変化したことはありますか?
竹中 様:
間違いなくいえるのは、品質が上がっているということ。高い品質を維持したままシステムのリリースまで進められています。
また、本番障害の数も以前より格段に減っていて、目に見える成果が出ています。さらに、システム開発部門全体の中で、テストに関して「頼りにできるチーム」として認識されてきたのも変化だと思います。
:では、今後のバルテスに期待することは何でしょう?
竹中 様:
少し先の目標として捉えているのは、特に結合テストの部分で、テスト成果物を使い捨てではなく、次のプロジェクトでも利用できるようにしていきたいというものです。これを“テストの資産化”と呼んでいるのですが、あるプロジェクトで作ったテストケースやテストデータを捨ててしまわずに蓄積し、次のプロジェクトにも再利用できるようにしたいと考えています。その蓄積したデータを管理ツールで扱えるようにしたり、単純なテスト作業であればロボットに作業させて自動化したりすることができれば、さらに一段階上の効率化が進むはずです。
こうしたテストの資産化のための方法に関しても、バルテスさんはさまざまなソリューションを持っているので、相談しながらどのように実現していくかを模索しているところです。自動化などはまだまだ解決すべきことが多いのですが、試行錯誤を続けながら強く推し進めていきたいと思っているので、ぜひご協力いただきたいです。
:ぜひプロジェクトの効率化につながるような、ご提案をさせていただければと思います。最後に、バルテスを含めた開発推進グループとして、今後のビジョンなどがあれば教えてください。
竹中 様:
今後はテストだけではなく、もっと広い意味で「品質保証」を捉え、開発推進グループ、SQAチームをCoE(Center Of Excellence)と呼ばれるような、組織の中の知識の集合体のような存在に引き上げていきたいという考えを持っています。開発チームからの品質向上に関する依頼に対してはスピード感を持って確実に対応していく、レビューを頼まれれば主要な欠陥はすべて事前に摘み取れるといった役割を果たすようになるのが理想です。
バルテスさんの協力を得るようになって2年程経ちますが、今はまだテスト設計やテストの実施によってプロジェクトの品質を上げるということが中心になっています。それをもっと幅広く大きな意味での品質保証活動につなげていきたい。そのための取り組みをバルテスさんの力を借りながら、いっしょに実現していきたいですね。