第三者検証を入れることで、開発スピードを上げ、
リリース前に版を重ねることができました。
スパイラル株式会社は、Webアプリケーション構築等で幅広く活用できる情報資産プラットフォーム『スパイラル®』の開発・販売等を手がけています。自社にもテスト部門を持つ同社ですが、バルテスの『Qbook』構築にあたり、同時に第三者検証を実施しました。
そこで今回は、スパイラル株式会社 コミュニケーション戦略プランニング部の小出 一寿様に『Qbook』構築時のお話と、第三者検証をご利用になった感想や効果についてお伺いしました。
情報資産を有効活用する
プラットフォーム『スパイラル®』とは
:はじめに、御社のローコード開発プラットフォーム『スパイラル®』について、概要を教えてください。
コミュニケーション戦略プランニング部
小出 一寿 様
:はじめに、御社のローコード開発プラットフォーム『スパイラル®』について、概要を教えてください。
小出 一寿 様(以下、小出 様):
『スパイラル®』を簡単に言うと、DBソリューションの一種です。お客様の顧客情報など、情報資産をお預かりしながら、多種多様なWebアプリケーション、サービスを構築することができます。
昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、Webサイトの利便性を上げるために、個人情報などをWeb上にお預かりして、活用するシーンが増えています。しかし、そのような情報資産をコンテンツと同じ領域に置いておくのはセキュリティ面などから見て問題があります。『スパイラル®』では、重要な情報を適切な場所に設置することで、必要なときだけ利用するセキュアな情報資産の管理DBと開発プラットフォームを提供しています。
:『スパイラル®』の豊富な機能を活用して、バルテスは『Qbook』を構築することができました。ありがとうございます。
小出 様:
最近、『Qbook』のように、複数システムの共通した認証データベースとして『スパイラル®』が利用されるケースが増えています。『スパイラル®』は、より秘匿な個人情報へアクセスする際に利用するログイン認証サービス『マイエリア』と、APIを利用したログイン認証の二種類のサービスを提供できるため、セキュアで利便性が高いWebサイトを構築できます。
『スパイラル®』は汎用性が高く、ご要望に合わせて、いろいろなサービス、機能を実現していくことができます。『Qbook』の話を聞いたとき、直感的に提案できることは多いと思いました。『スパイラル®』はフラットで、多くのことにチャレンジできる特性を持っているためです。
『Qbook』構築時の課題感とは?
:今回、『Qbook』のテストをバルテスが実施しましたが、御社では、どのような課題感をお持ちでしたか?
小出 様:
やはり、第三者検証サービスを提供するバルテスがリリースするサイトということで、テストをしてもらう前提はありました。課題感は、実は『Qbook』本体よりも大掛かりになっている『Qbookアカデミー』にありました。
開発期間が短いこともあり、消去法的にオープンソースのCMSとプラグインを選んで、作り込むことになりました。そのプラグインが英語ベースのプラグインであったため、最終的に『スパイラル®』とCMS、プラグイン、プラグインの日本語化辞書の全てを連係させることになりました。
ポイントは、会員情報は『スパイラル®』に全て格納されていますが、CMS側のプラグインを使った場合、プラグインはCMS側のデータベースを見に行くことにあります。ここをカスタマイズしてしまうとプラグインのバージョンアップができなくなる問題が発生してしまうのです。しかし、CMS側のデータベースに会員情報を入れると『スパイラル®』でセキュアに分離した意味がなくなってしまいます。
そのため、必要最低限の暗号化した会員情報を使ったデータの連係の仕組みを作り上げました。『スパイラル®』からデータ連係しているものの、CMSのデータベースも使っているため、ステータス管理をするときは同時にHTMLとPHPの部分とで切り分ける必要が出てきました。
また、UIをカスタマイズしたことにより、レイアウトの要素がCMS、プラグイン等、様々な箇所に存在することになりました。これにより、問題の1つを修正するのに何ヶ所も確認しなければならないケースが発生することになり、UIのテストが煩雑になっていました。
これらは、エンジニアを増やせば解決する問題ではなく、テストを効率よく、開発と並行して実施する必要があると認識していました。ここが当時の課題感であったと思います。
最終的に、バルテスが第三者検証として、ユーザーサイドからUI/UX面を確認したことで、スピード感を持って、高いクオリティでこの課題を解決できたため、リリースに辿り着けたと考えています。
『Qbook』の開発・テスト体制
:開発の体制はどのようになっていたのでしょうか?
小出 様:
『スパイラル®』とCMSの連係部分に関しては、スパイラル株式会社と協力会社とで1チームを作って対応し、テストをバルテスが担っていました。3社で『Qbook』を作り上げた形です。
:『スパイラル®』とCMS、プラグインの連係で発生する問題の切り分けを、バルテスが行ったのですね。
小出 様:
私たちでもテストは実施していますが、今回のようになかなか手が回らないケースもあり、バルテスから第三者の視線で客観的な意見をもらえるのは重要でした。細かな「異常系のテスト」をしてもらったりした感覚からすると、細かな問題の発見は、開発・制作側だけではできなかったと思っています。
:今回、『Qbook』の構築を依頼しているのがバルテスで、テストをしているのもバルテスという状況でしたが、テストはスムーズに実施できたと感じますか?
小出 様:
今回は、お互いにナレッジがあるなかでゴールイメージをインプリメントできた面があるので、その点は問題ありませんでした。バルテスがいろいろ調整役を買って出てくれて助かりました。その点で、今回のプロジェクトでは多くの気づきがありましたね。
メディア構築時に
第三者検証を導入した効果とは
:今回のプロジェクトで第三者検証を入れた意義や効果をどのように感じていらっしゃいますか?
:今回のプロジェクトで第三者検証を入れた意義や効果をどのように感じていらっしゃいますか?
小出 様:
第三者検証を行うメリットは、単純に開発側やクライアントの主観に左右されない点が大きいと思います。とくにUI/UXについて、リリース前に客観的に評価でき、使い勝手や機能を向上させておくことができるのはメリットだと感じました。
:今回、脆弱性診断も実施していますが、他についてはいかがでしたか?
小出 様:
『スパイラル®』とCMSの連係の部分が難しいところだと言いましたが、こういった点についても、作り手が考慮漏れしやすい項目を含めて、『Qbook』でも『Qbookアカデミー』でも、重点的に機能面を一通り検証してもらい、私たちとしては、漏れなく対応できたと感じられました。当社もセキュリティテストとして、侵入テスト等を実施していますが、脆弱性診断に関しても、内容がわかりやすく網羅されている印象を受けました。品質を上げることができたと思います。
:CMS側のプラグインを利用した際の動作などは、細かくテストをやり込んだのでしょうか?
小出 様:
しっかりやってもらいました。例えば、入力文字数や異常系ですね。10文字から20文字を入れるスペースに、誤って100文字を入れたらどうなるのかとか、そういう確認は当たり前にやるべきことですが、バルテスは想定を超えた範囲までテストを実施し、問題を炙り出してくれた印象が強いです。想定外の問題が発生したときのデメリットや、問題の規模まですぐ検討することができ、滞りなく対応できました。
全体としてみると、『スパイラル®』との連係部分等のテストが多く、その部分については事前に考えていたとおりだった面はあります。UI/UXのテストに関しては、当社も社内テストはもちろんしますし、当然、テストチームが検証をしますが、それよりも一歩踏み込んだものができました。
第三者検証を利用した感想と今後への期待
:今回のプロジェクトでバルテスの第三者検証を利用して、どんな感想をお持ちになりましたか?
小出 様:
メディアやコミュニティサイトは、α版、β版と版を重ねて開発をしていく必要があります。ある意味、リリースした時点から改善がはじまっていく面があると思います。しかし、プアな状態でいきなりスタートしてもユーザーが集まりません。ある程度、版を重ねた状態でリリースしないと、どうしても似たサービスや競合には勝てないでしょう。そういったときに、第三者検証を入れることで、開発スピードを上げ、ショートカットして版を重ねるという発想は「アリ」だと感じました。テストに費用対効果を求める時代になっていることを実感しました。
:バルテスの第三者検証に、今後どんなことを期待されていますか?
小出 様:
Webディレクターやプロデューサーの教育面をフォローしてほしいですね。メディアやコミュニティサイトのテストやQAは、制作進行する立場の人がUI/UXの本質を理解していないと上手くいかないと思います。クライアント側として学んでおくべきUI/UXの話と、テスト・QAを発注する発注側として学んでおくべきこと、実制作側が学ぶべきことが体系化されていると、日本のWebサイトはもっと良くなるのではないでしょうか。
:最後に、バルテスの利用を考えている企業様にアドバイスをお願いします。
小出 様:
時間はお金で買うことができませんが、逆に言うと、第三者検証を導入することで、リリースまでの時間を短くできる可能性が高まります。ビジネスを考えると「リリース=タイミング」で今後さらに大事になっていくと思います。そういった点で、投資の価値があると考えています。