バルテスさんのセミナーで、「基本の型」が社内に注入されたのは大きかった。
現場ですぐ使える実践的なノウハウを得ることができました。
若手メンバーに実践的な
ノウハウを体得してもらいたかった
石原:バルテスをどこで知られたのでしょうか。
弊社石原のセミナー講演を聞き、バルテスに依頼することを決めたと語る中野様
石原:バルテスをどこで知られたのでしょうか。
中野 様:
当社は、メガバンク、大手証券をはじめとした主要な金融機関向けに、金融商品の取引やリスク管理業務を支援する独自開発の金融ITソリューションを提供しています。
昨今のシステム品質に対する要求の高まりを受け、私の所属するグループでも数年前より、組織横断的に品質を高めよう、標準化を進めていこうという動きが活発化していました。
そのタイミングで、SI Object Browserを作っていらっしゃる株式会社システムインテグレーター主催のセミナー案内があり、そこで石原さんの講演を聞いたのがきっかけです。
石原さんの業界実績や伝えいただく言葉の重みと分かりやすさをトータル的に見て、「これは私だけじゃもったいない」と思い、社内展開を検討しました。
石原:サービスを導入するにあたっての背景、困りごとはなんだったのでしょうか。
中野 様:
当社では、10年ほど前から新卒採用を積極的に進めてきたこともあり、多くの若手メンバーがプロジェクトの中核として活躍しています。
こうした状況の下、若手を中心に組織を拡大していくなかで、いかにしてシステムの品質を維持・向上させていくかは長年の課題としてありました。
また、私の所属するグループで中核となっているのは、既存パッケージを軸とした開発案件やエンハンス案件なのですが、最近では既存パッケージの刷新や仮想通貨への対応など、大規模なスクラッチ案件も増えています。
しかし、いざ新しいパッケージをゼロから作るとなった時、課題が浮き彫りになりました。
何十万ステップもの新しいプログラムに対して、テスト計画からテスト設計までを一から組み上げるとなった段階で、若手メンバーがその経験をつめていないことに気づいたのです。
石原:そこで冒頭の標準化を進める動きにつながるのですね。
中野 様:
組織構造が若手に寄っていることで、本来教育者の立場となる中堅・ベテランの人数も時間も足りない。
そもそもその中堅・ベテランもいわば我流で業務を行っていたこともあり、中堅・ベテランの暗黙知の伝承自体が難しい状況にもありました。
こうした状況を鑑み、外部の力を借りないと難しいのではないかという思いが前からありました。
拠り所となる思考法や
フレームワークを導入する必要を感じていた
石原:秋山様は今回のオンサイトセミナーを実際にご受講いただいたのですが、その前に、中野様とはまた別の経路でバルテスをお知りになったとお聞きしました。
品質を守るとは何か、あるべき型を注入してもらいたいと語る秋山様
石原:秋山様は今回のオンサイトセミナーを実際にご受講いただいたのですが、その前に、中野様とはまた別の経路でバルテスをお知りになったとお聞きしました。
秋山 様:
当時、自分がPMを務めていたプロジェクトにおいても、テストを十分に行っていれば未然に防ぐことができた障害が発生することがあり、ソフトウェアの品質を維持・向上することの難しさを痛貫していました。
そんななか、ソフトウェアの品質向上をテーマにした社内の輪読会において、石原さんの「ソフトウェアテストの教科書」に出会いました。
石原さんの著書を通して、品質を決定づけるテスト工程の全体像と実施方法を体系的に知ることができ、強い感銘を受けました。
若手メンバーを中心に組織が急拡大していくなかで、品質を維持・向上させていくためには、これまでのように各々が我流で進めていくのではなく、拠り所となる思考法やフレームワークを導入する必要があるのではないか。 そのためには、ベストプラクティスを熟知している外部のスペシャリストから体系的かつ実践的なノウハウを社内に注入してもらうのが有効ではないかと考えるようになりました。
ちょうど同じタイミングで、中野から石原さんのセミナーが良かったと聞き、私も「その人の本読んでるよ」ということで、セミナー開催の企画にかかわらせていただきました。
石原:そういった二つの背景から弊社へのご依頼に繋がったわけですね。 弊社のセミナーは我流に対して、「基本の型」と呼んでいます。
この「基本の型」を若手の方にゼロベースから土台を作り上げるべく、弊社提供カリキュラムの基礎編・設計編・品質向上編をカスタマイズしてご展開させていただきました。
ワークショップスタイルで
気づかせるセミナーが若手に響いた
石原:実際受けさせた側としてどういう効果を感じましたか。
セミナー当日のワークショップの様子
石原:実際受けさせた側としてどういう効果を感じましたか。
中野 様:
開催翌日から、Never, Must, Wantというキーワードが社内を飛び交ったのを覚えています。 バルテスさんのセミナーがいいと思ったのは、人の認知力の弱さみたいなものをワークショップスタイルで自ら気づかせる体験型であるところですね。
普通セミナーというと「ウォーターフォールとは」ですとか、「設計書はこう書く」みたいな教科書的な話になります。
でもバルテスさんの場合は、「人間の弱点ってこうだよね」と気づかせていただける。
面白いゲームのようなもので、気づかせたその上で弱点を補うためにどのように設計書は書くべきかという話をされる。これは若手に響いたと思っています。
例えば毎日使うような電子レンジでも、いざ要求書を書こうとすると書き出しきれないことに気付く。
セミナー受講後の要件定義でも、Never, Must, Wantの分類で鋭い指摘を繰り出すメンバーがいたりと、主催した側としては良い効果だと思っています。
秋山 様:
確かにそのNever, Must, Wantが講義直後から社内で流行りまして、こういう考え方ができるとか、簡単なフレームワークとして使いましょうといった形で定着していますので、実践的な内容としてすごく響いたんじゃないかと思っています。
受講前はお堅い内容で、教科書的な何かを教えられると思っていたメンバーも多かったと思うのですけどそうじゃなかった。
もし教科書的な話だったら全然響いてなかったと思うんですよ。
石原:「ソフトウェアテストの教科書」という本を執筆している私が言うのもなんですが、教科 書的な話ができないんです。
受講される方の「○○で困っています」を伺ってからセミナーを開始したりするので。もうお気 づきと思いますが、全く同じセミナーにはならないんですよ。
秋山 様:
面白いですよね、ああいうの。私も一回受けたけれどまた受けたいくらいです。 その場で出てきた質問に対して、講義そのものをアジャストしてくれる。
石原:座学を提供してもあまり意味がないなと思っています。
せっかく一日という時間を割いていただいたのなら、今、困っている事象の解決や現場で使える ものを持って帰っていただきたいと考えております。
このように実際にセミナーの内容を業務で使っていただいていることが本当にうれしいですね。
若手メンバーが手掛ける
成果物の質が極端に変わった
石原:セミナーを受けて特に変わったと感じられることはありますか。
既存の考え方しか行わなくなるのは、派生開発のテストで避けなくてはならないと語る当社石原
石原:セミナーを受けて特に変わったと感じられることはありますか。
秋山 様:
これまで漠然と問題意識を持っていた人や、問題意識すら持てていなかった人たちに対して、「基本の型」として拠り所となる思考法やフレームワークが注入されたのは、とても大きかったと思います。
それこそ、なんとなく過去の設計書のフォーマットに引きずられるようなアプローチからは脱却できたかと考えています。
今までは、若手メンバーが作成した設計書をレビューする際、その場でメンバーに対し、「これってどう考えたの?」とか、どれだけ考慮したのかをかなり質問して、作り直しを指示することも少なくありませんでした。
しかし今ではいきなり設計書のレビュー依頼がくるのではなく、その前段階としてNever, Must, Wantのフレームワークを用いて要件レベルで認識を合わせ、その上で設計書レビューを行うことが増えました。
「基本の型」を意識したうえで、実際の成果物を作っていくという動きが出てきたのはすごく良かった。
若手メンバーが手掛ける成果物の質が極端に変わりました。
石原:ゼロベースで土台を作る大役を任せていただき、なおかつ効果を感じていただいており、 嬉しく思います。結局、派生開発はレガシー資産を様々な意味で引き継いでしまいます。
もちろん必要な面もありますが、弊害として言われたことしかやらなくなる、既存の考え方しか行わなくなるなど、本来テストで一番避けないといけない部分が現れる。
そこから脱却する礎を作るのが今回のセミナーの主旨の一つと思っておりましたので、多少は貢献できていると聞き、安心しました。
中野 様:
今回のセミナーは良いきっかけになったと思います。
これを機に、さらに全社的に教育に取り組んでいくという流れになってきていますので。
これからは全社をあげて教育プログラムを組んでいきたい
石原:今後バルテスに期待するものはどのようなものでしょうか。
一緒に製品を育てていくパートナーと語る中野様
石原:今後バルテスに期待するものはどのようなものでしょうか。
中野 様:
今後のセミナー受講に関しては経験の浅い若手メンバーはもちろん、これまで我流で業務を行ってきた中堅・ベテラン組にも受講をさせたいと考えています。
例えば彼(秋山氏)のような中堅メンバーはOJTメインで育ってきており、体系的な品質教育を受けていない状態です。
中堅・ベテラン層の育成は、当社の重要な経営施策のひとつでもあるため、全社をあげての取り組みとして品質教育を実施していく際に、ぜひご支援いただきたいと考えています。
石原:弊社としても新卒向けや、現場2,3年目の若手向け、PL向け、PM向けのようなパターンでの教育を、「基本の『き』+応用」といった内容でご提案させていただきたいと考えています。
中野 様:
あと一点、「継続した定着化」が課題とも感じています。教えられたタイミングでは熱量が上がって良いのですが、日々の業務に忙殺されると継続がうまくいかない点もある。
もちろん、意識の高いメンバーは自ら定着化に向け頑張り続けることができるのですが。
そういった意味で、PMOやプロセス改善のコンサルタントとして参画いただける方をご紹介いただければと思います。 セミナーを受講したメンバーが実際にプロジェクトを担当する中で、体系的な話がどう実践に結びつくのかを実感できると良いのではないかと思っています。