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最終更新日時:2024.11.18 (公開日:2024.07.30)

QA組織を立ち上げる前に考えておきたいポイントとは?QAのリブートを担当した技術者が解説

2024年3月19日に「事例で学ぶQA組織立ち上げの成功ポイント」というセミナーを、バルテス株式会社の主催で開催しました。今回はその講演内容のポイントについてご紹介します。

QA組織立ち上げ成功における3つのポイント

「複数プロジェクトに対して、横断的に品質を見られるようにしたい」
「開発負荷の軽減したい」
「不具合の市場流出を低減したい」

このような課題感を持ってQA組織を立ち上げたが、うまく機能しないといったお悩みを聞くことも増えてきました。ここからは、セミナー内容をもとにQAを立ち上げ、効果を出すうえでどのようなポイントがあるのか当社の支援事例からQA組織の立ち上げにおけるポイントを分析します。

1. QA組織の活動目的を明確にする

QA組織を立ち上げる際、まずは活動目的を明確にしましょう。

品質確保にはコストがかかります。かけられるコストは有限なので、改善を続けるためにも費用対効果の高いパフォーマンスを出す必要があります。

しかし、品質保証の活動は、不具合を未然に防いでいる性質上効果が見えにくいのが課題となります。「QAチームの活動はどれだけ効果があるのだろう」という問いに答えるために、まず今直面している課題を明確にし、その課題解決ができているのかを計測できるようにしておくことが重要になります。

2. 顧客・利用者の理解のためのアプローチを行う

品質保証で重要となるのは、顧客理解の深化に向けたアプローチです。ソフトウェアの品質が良いというのは、バグがないことだけではありません。最終的にはシステムのユーザーがしたいこと(要求)が、システムにマッチしている状態です。

QAの効果を最大限に引き出すためには、製品がどのようにユーザーの問題を解決し、利便性を提供するかを意識する必要があります。最終的には仕様書に書かれた内容を超え、ユーザーの利用体験や、ビジネスの収益モデルの理解をするなどパースペクティブな視点を持つことでより良いQA活動が可能となります。

3. QA組織体制を強化する

QA活動自体の強化活動も重要です。オンボーディングの仕組みを作り、組織として強くすること、要件定義などの上流からの参画や、ユーザーインタビューなど利用者やビジネスを理解するチャンスを増やすこと、QA活動を受ける一連のプロセスを整備することなどが挙げられます。

QAをリスタートした事例

ここからは、Webアプリケーションのアジャイル開発現場におけるQAチームの立て直し事例を見ながら、実際のQA現場でどのように組織を立ち上げ、効果を出していくのかを見てみましょう。

本事例では既存QAチームの活動に大きく3つの課題が発生していました。

これらの課題について、前述のQA組織立ち上げのポイントを元に当社が活動の改善を行ったポイントを解説します。

課題1 潜在問題を抽出できないままリリース

状況

リリースされる製品に潜在的な問題が残っており、ユーザー体験に悪影響を及ぼしていました。このため、リリース後のHotFix対応が頻繁に必要な状況となっていました。

行ったこと

不具合の市場流出を防ぐため、リリース前の各スプリント直前に、回帰テストを実施しました。そして、リリース前に不具合を事前に検出できる体制を整えました。

さらに不具合が検出されたテスト工程を記録し、どのテスト段階で問題が発生したか、その原因が要件定義、詳細設計、またはコーディングのどの部分にあるのかを詳細に分析しました。これにより、プロダクトの弱点を特定し、その部分に対する強化テストも行っています。

指標としてリリース前にデグレードを検出できた数と、リリース後のHotFixの件数を取ったところ、リリース後のデグレート不具合の件数が顕著に低下しており、QA活動の成果を分かりやすくステークホルダに説明できるものとなりました。

課題2 QAがあることで開発対応コストが増加

状況

QAが不具合を検出することで開発対応コストの増加を招いていると評価されている不健全な状態に陥っていました。原因を分析したところ、不具合レポートが改修目的を明確に示せていないことで、開発とQA間のコミュニケーションコストが増大していたことが分かりました。

行ったこと

対策として、不具合レポートのフォーマットを改善し不具合の現象と手順だけでなく、エンドユーザーが求める期待値と不具合が発生した場合の与える影響についても明記するように変更を行いました。

改善された不具合レポートにより、開発に改修の方向性が明確に伝わるため、差戻しが軽減され、コミュニケーションコストが抑えられました。また、エンドユーザーにとっての影響度という観点も含めたレポートにより、不具合修正の優先度も立てやすくなっています。

また、QAチームはシステムの構造を理解するための勉強会を実施し、API連携の仕組みなどを共有しました。

これにより不具合の原因特定までQAチームで行えるようになり、開発側の調査工数が短縮されました。

課題3 オンボーディングに時間がかかる

状況

関連資料が散在しており、仕様書が存在していない状態でした。これは新メンバーがプロジェクトに参加する際の課題となっていました。

行ったこと

開発チームが保有する仕様の不明点をQAチームが確認し、整理することでドキュメントの整理と共有化を行いました。整理された情報はConfluenceやNotion、GitHubのWikiなどのプラットフォームに集約し、プロダクトチーム全員がアクセス可能な形で共有しました。

集約された資料によってQA組織としてのプロセスや教育体制が整備されたほか、開発も含め新規メンバーのオンボーディングにかかる時間が短縮され、プロジェクト全体の効率が向上しました。

まとめ

本ウェビナーでは、QAを立ち上げたがうまく機能しないという現場でリスタートを成功させた事例をもとに、立ち上げのポイントや、実践例を見てきました。その他、QA立ち上げに際して考慮しておきたいチェックリストを作成しましたので是非併せて参考にしてください。

>>チェックリストのダウンロードはこちら

バルテスでは、テスト専門会社としてのナレッジを元にQA立ち上げやリスタートのご支援を行っています。もしQA組織の立ち上げやソフトウェアテストのアウトソーシングにご関心があればぜひご相談ください。

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