リモートワークによるオンライン業務を中心とした企業様が継続して増加しております。オンラインによるアジャイル開発で業務を進め、社内メンバーの満足度と開発の生産性を高めるはずが…意外とコストが掛かっている事実に驚いたプロジェクトマネージャーも少なくないと思います。生産性が思ったよりも上がらず、「アジャイル開発は失敗かな…」とあきらめていませんか。見えない失敗からアジャイル開発の成功を考えてみましょう。
アジャイルが失敗する原因
アジャイルを適用したはずなのに…
「開発に特に問題もない」、「アジャイルの原則通りにプロジェクトを進めている」、「テスト自動化も導入している」なのに「なぜ失敗したのか?」と頭を悩まされている方もいるのではないでしょうか。アジャイル開発の「目に見える失敗」については既に様々な記事が出ておりますので、ここでは「見えない失敗」を紐解いていきます。
見えない失敗には共通点がある
いくつものプロジェクトマネージャーに聞いた話を要約すると3つに集約されました。多くの方は以下の共通点は失敗と感じないかもしれませんが、経営層の目線で考えると「失敗」と見られる可能性があります。
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【失敗の共通点】
コミュニケーションコストの増加
アジャイル開発には、柔軟に顧客の要望をキャッチアップできる為、ビジネスチャンスを逃さずにリリースできるメリットがあると思います。しかし、柔軟に変化を受け入れる一方で、「柔軟」な対応に対するコストがコミュニケーションに偏るケースがあります。特に、「ステークホルダーとの合意形成」、「情報共有に関する打合せ時間の増加」が障害となります。
また、最近はリモートによる業務も増加していることから、コミュニケーションツールによる不特定多数の方から発信される情報のキャッチアップも必要となります。そのため、本来行うべき開発業務が別の作業にリソースを割いている結果となっています。
リリース日程を決めずに開発を進めがち(着手スピードのみが意識される)
「より良いサービスを他社よりも早く提供したい!」と考えている企業様は少なくありません。経営層からも「早くリリースするように!」との台詞もプロジェクトマネージャーの皆さまなら一度は耳にしたのではないでしょうか。しかし、現場では「早くリリースせよ! = まずは着手だけは早くして安心させよう」との気持ちが先行してしまいます。「XX月~XX月」、「XX月中」などのキーワードが並び、プロダクトバックログに期日間際のギリギリまで放置されているケースがよくあります。
放置した結果、期日間際の作業の為、手戻り作業が多発する といった現場の声もよく聞きます。このような事象が「暗黙の了解」であると、現場で気づくのは至難の業です。
スピード感と情報量のバランスが悪い
当社にご相談いただく際に「スピード優先でやっています」とのお話をよく伺いますが、実はリリースが遅れがちといった現場を目にします。実は「実装すべき内容は決まっているんだけど…」という場合が大半です。しかし実情はチャットなどに情報が羅列されており、情報の交通整理といった見えない作業が必要です。情報量がスピード感を阻害しているのです。
プロジェクトマネージャーの皆さまは扱うドキュメントやツールがワードやエクセルから、スプレッドシートやチャットに置き換わった頃から薄々気づいていらっしゃるかと思いますが、要は情報整理の方法という作業工程に表れない「見えない要素」が「キモ」となります。このような「暗黙の了解」「見えない要素」の解説をさせて頂きましたが、少しご自身の現場に目を向けてみましょう。
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まずは現場の分析からはじめよう
「日々の作業に追われて、分析と言われても…」となりますよね。そんな皆様に朗報です。分析のポイントをまとめてみました。
- 情報量がコミュニケーションツールに集約されていないか?
⇒情報量が適切な場所で管理されていることを確認するようにしましょう。 - 権限が特定の方に集中していないか?
⇒チームリーダーだけ打合せ量が異常に多い など - 「何かを解決する」といったゴールがない会議は一週間に何時間あるのか?
⇒「ゴールがある会議=何かを生み出せる」を前提としてみましょう。相談事項なども時間計算してみると、新しい発見があるかもしれません。 - 1つの合意形成を取るまでの時間はどの程度か?
⇒情報共有を一元管理できており、誰でも検索すれば見つけられる状態であるか?
いかがでしょうか。色々と思い当たることはありませんか?
アジャイル開発の失敗を減らす3つの方法
合意形成と情報共有の時間を削減
「打合せ=合意形成」の必要性の比重を重きに置く組織は多くあります。「合意形成の場を減らす」または「責任者に権限を委譲させる」などを行い、自走できる組織づくりをしましょう。
リリース日程が決まっていないものは「実装優先度」を低く位置付ける
「リリース日程が決まっている=市場が期待している」ケースはよくあります。リリース日程が決まっている機能などは、ビジネスチャンスを逃さずに実装を優先させ、売上に寄与することができます。
スピード感と情報量のリバランスを行う
開発のスピードアップも取捨選択して、「スピード感を持って対応すべき実装」と「スピード感が不要な実装」を明確に分けるようにルール化しましょう。また、「スピード感を持って対応すべき実装」に対して、情報元を集約するなどを工夫してみてください。
まとめ
「アジャイル開発の失敗は「見えない失敗」にあり!」と題して、ご紹介してきました。
特にアジャイル開発ですと、コミュニケーションコスト、目的の情報を探すコストが非常に掛かります。当社の支援実績がある企業様を比較してみると、コミュニケーションコストが少ない企業と多い企業との差はおおよそ3~4倍となります。意外と無視できないコストであることが分かると思います。見えないコストの多くは、コミュニケーションなり組織文化に基づくものが占めており、改善が容易ではありません。「客観的に見ないと気付かない」ため、直近で中途採用された人材などにヒアリングしてみると気付かされる点があるかもしれません。
一度、ご自身の現場を振り返って、アジャイル開発について見直すきっかけにされてはどうでしょうか?
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