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最終更新日時:2026.04.03 (公開日:2026.04.03)

金融庁のレポートから学ぶ!金融システムの主な障害原因と4つの対策

金融システムは、銀行振込や決済サービス、証券取引など社会インフラとして重要な役割を担っています。そのため、ひとたびシステム障害が発生すると、金融機関だけでなく多くの企業や利用者に影響が及ぶ可能性があります。

こうした背景から、金融庁では金融機関で発生したシステム障害の報告をもとに「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」を公表し、障害の傾向や原因、再発防止策を整理しています。

本記事では、この金融庁のレポートを参考に、近年の金融システム障害の傾向や主な原因、さらに障害を防ぐための対策について解説します。

「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」とは

金融庁が公表している「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」は、金融機関から提出される「障害発生等報告書」をもとに、システム障害の発生状況や原因を分析したものです。

このレポートでは、金融機関のシステム障害について以下のような観点で整理されています。

  • システム障害の発生傾向
  • 障害の主な原因
  • 再発防止のための取り組み
  • ITリスク管理の課題

金融システムは社会インフラの一部であり、障害が発生すると多くの利用者や企業に影響を及ぼします。そのため金融庁は、金融機関に対してシステムリスク管理の強化を求めています。

こうした背景から、金融システムに関わる担当者は、過去の障害事例や発生傾向を理解しておくことが重要です。

金融庁の分析レポートは、システムリスクを把握するうえで参考になる資料といえるでしょう。

近年の金融システム障害の傾向

金融庁の「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」では、金融機関で発生したシステム障害の内容が整理されています。

近年の金融システム障害には、次のような種類があります。

障害の種類内容影響
決済・振込処理の障害振込処理や資金決済が正常に処理されない振込遅延・決済停止
ネットバンキング障害インターネットバンキングが利用できない個人・法人取引停止  
ATM関連障害ATMの入出金や振込が利用できない店舗・ATM業務停止
外部サービス連携障害  外部システムとの連携エラー一部サービス停止
サイバー攻撃に起因する障害DDoS攻撃や不正アクセスなどによりサービスが不安定化・停止するサービス停止・応答遅延・利用制限

金融システムは銀行内部のシステムだけでなく、決済ネットワークや外部サービスなど、多くのシステムが連携して構成されています。そのため、障害が発生する場所によって影響範囲も大きく変わります。

例えば、決済インフラの障害が発生した場合、複数の金融機関で振込処理に影響が及ぶ可能性があります。また、インターネットバンキングの障害では、顧客がオンライン取引を利用できなくなるケースもあります。加えて、近年はサイバー攻撃によってシステム負荷が高まり、サービス停止や応答遅延につながるリスクも無視できません。

このように、金融システム障害はさまざまな形で発生し、金融サービスの提供に影響を及ぼすのです。

金融システム障害の具体的な事例

金融庁のレポートでは、金融機関で発生したさまざまなシステム障害の事例が紹介されています。

金融システムは複数のシステムや金融機関が連携して構成されているため、障害が発生した場合の影響が広範囲に及ぶ可能性があります。

ここでは、レポートに掲載されている事例の中から代表的なケースを紹介します。

事例① 資金決済システムの障害

資金決済に関わるシステムで障害が発生し、振込処理などの為替業務が正常に処理できなくなった事例が報告されています。

この障害では複数の金融機関の振込処理に影響が生じ、一部の振込取引に遅延が発生しました。金融システムは銀行間のネットワークを通じて連携しているため、決済関連システムの障害は複数の金融機関に影響を及ぼす可能性があります。

事例② ATM・オンラインサービスの障害

金融機関のオンラインシステムで障害が発生し、インターネットバンキングやATMサービスが一時的に利用できなくなった事例があります。

このような障害が発生すると、利用者は振込や残高照会などの取引を行うことができなくなり、金融サービスの提供に大きな影響が生じます。

事例③ 外部委託先システムの障害

金融機関が利用している外部委託先のシステムで障害が発生し、一部の金融サービスが利用できなくなった事例も報告されています。

このような場合、金融機関のシステム自体に問題がなくても、連携しているシステムの障害によってサービスが停止する可能性があります。

事例④ システム更新作業による障害

システムの更新作業後に、業務システムが正常に動作しなくなり、金融サービスの提供に影響が生じた事例もあります。

金融機関では法改正対応や機能追加などに伴い定期的にシステム改修が行われており、更新後に想定外のトラブルが発生するケースも報告されています。

出典:金融庁「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」

金融システム障害が発生する主な5つの原因

金融システム障害はさまざまな要因によって発生しますが、金融庁の分析レポートでは、いくつかの共通した原因が見られると指摘されています。

ここでは、金融システム障害の代表的な原因として挙げられる5点を解説します。

4-1. システム構成の複雑化

金融機関のシステムは、長年の運用の中で改修や機能追加が繰り返されており、システム構成が複雑化する傾向にあります。

特に金融システムでは、基幹システムに加えて決済システムや外部サービスなど、複数のシステムが連携して動作しています。そのため、一部のシステムで問題が発生すると、他のシステムにも影響が波及する可能性が高まるのです。

また、システムの構造が複雑になるほど、障害発生時の原因特定や復旧作業が難しくなるため、サービス停止の影響が拡大するリスクもあります。

4-2. 設定ミス・人的ミス

システムの更新作業や設定変更の際に発生する人的ミスも、金融システム障害の原因の一つです。

金融システムでは、法改正対応や機能追加などのために定期的にシステム改修が行われます。こうした更新作業の過程で設定ミスや作業ミスが発生すると、システムが正常に動作しなくなる可能性があります。

また、大規模なシステムでは設定項目や管理対象が多く、作業が複雑になることも人的ミスの要因となります。

4-3. ソフトウェアの不具合

プログラムのバグや設計上の問題など、ソフトウェアの不具合もシステム障害の原因となります。

金融システムでは大量のデータ処理や複雑な業務ロジックが扱われるため、特定の条件下でプログラムが正常に動作しなくなるケースがあります。

このような不具合は、テスト段階では問題が見つからず、本番環境で実際の運用が始まってから発覚する場合もあります。

4-4. 外部委託先システムの障害

金融機関では、システム開発や運用の一部を外部企業に委託しているケースが多くあります。

そのため、委託先のシステムで障害が発生した場合、金融機関のサービスにも影響が及ぶ可能性があります。

また、近年はクラウドサービスや外部サービスとの連携が増えており、システム間の依存関係が複雑化しています。こうした環境では、連携先のシステム障害がサービス停止につながるリスクも高まっています。

4-5. サイバー攻撃・セキュリティリスク

サイバー攻撃による障害リスクも高まっています。金融機関は重要インフラとして社会的影響が大きいため、攻撃対象になりやすい分野の一つです。

例えば、DDoS攻撃によってシステム負荷が急増し、サービスが利用しにくくなったり、一時停止したりするケースがあります。また、不正アクセスやマルウェア感染などによって、システムの正常な運用に支障が生じる可能性もあります。

そのため、金融システムでは、システム不具合や運用面の課題だけでなく、セキュリティの観点も含めた総合的なリスク管理が重要です。

金融システム障害を防ぐ5つの対策

金融システムは社会インフラとして重要な役割を担っているため、障害の発生を未然に防ぐための取り組みが重要になります。

ここでは、金融システム障害のリスクを低減するために重要とされる主な対策について解説します。

5-1. テストの強化

金融システムでは、機能の正確性だけでなく、安定した運用を実現するための検証が重要になります。そのため、システム開発においては、さまざまな観点から十分なテストを実行することが求められます。

例えば、システム全体の動作を確認するテストや、システム間の連携を確認するテストなどを通じて、障害につながる可能性のある問題を事前に把握することが重要です。

また、大量の取引処理が行われる金融システムでは、システムの性能や安定性を確認するためのパフォーマンステストの実行も必要です。

・どんなテストをどのくらいすればいいか分からない
・どのような観点でテストをすればいいか分からない
など、テストに関してお困り事がある方は品質トータルサポート企業のバルテスにご相談ください。

5-2. 運用監視体制の強化

システム障害を防ぐために、日常的なシステム監視や運用管理の体制を整備しましょう。

システムの状態を継続的に監視することで、異常の兆候を早期に発見できる場合があります。これにより、障害の発生を未然に防いだり、影響を最小限に抑えたりすることが可能になります。

金融システムでは、安定したサービス提供を維持するために、継続的な監視や運用管理の仕組みを整備することが重要です。

5-3. リリース管理の徹底

金融システムでは、法改正対応や機能追加などに伴い、システムの改修や更新が定期的に行われます。

こうした更新作業を安全に実施するためには、リリース手順の整備や変更管理の徹底が必要になります。事前に十分な検証を行い、変更内容を適切に管理することで、リリースに伴うトラブルのリスクを低減できます。

また、システム更新後の動作確認を行うことで、想定外の問題が発生していないかを確認することも重要です。

5-4. 障害対応訓練(BCP)

障害が発生した場合に迅速に対応するための準備もしておきましょう。

そのため、障害発生時の対応手順をあらかじめ整理し、復旧作業の手順や役割分担を明確にしておくことが求められます。

また、実際の障害発生を想定した訓練を実施することで、緊急時の対応力を高めることも重要です。このような取り組みは、事業継続計画(BCP)の観点からも重要とされています。

5-5. セキュリティ対策の強化

サイバー攻撃による障害リスクに備えるためには、セキュリティ対策の強化も欠かせません。

アクセス制御や脆弱性対策、不審な通信の監視などを通じて、攻撃の兆候を早期に把握し、被害拡大を防ぐことが重要です。

金融システムでは、障害対策とセキュリティ対策を切り分けて考えるのではなく、安定運用を支える取り組みとして一体的に進めることが求められます。

バルテスでは脆弱性診断やWAFなどサイバー攻撃から身を守るご支援もしています。お気軽にご相談ください。

金融システムの品質向上はバルテスにお任せください

金融庁の分析レポートでは、金融システム障害の主な原因として、システム構成の複雑化や設定ミス、ソフトウェア不具合、外部システムとの連携、さらにはサイバー攻撃などのリスクが挙げられています。

また、こうした障害を防ぐためには、システムリスク管理の強化や変更管理の徹底、十分なテスト・検証の実施などが重要であると指摘されています。

バルテスでは、こうした金融システム障害のリスクを低減するため、要件定義段階からの品質レビューやテスト計画・設計支援、システムテストの実施、回帰テストの自動化などを通じて、金融システムの品質確保を支援しています。

また、脆弱性診断などを通じて、サイバー攻撃をはじめとするセキュリティリスクへの対策支援も行っています。

金融システムのテスト体制の強化や品質保証、セキュリティ対策についてお悩みの方は、ぜひバルテスまでご相談ください。

まとめ

金融庁の「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」からは、金融システムを取り巻く環境の変化や、システム構成の複雑化などによって障害リスクが高まっていることが分かります。

金融システムの安定運用を実現するためには、システムテストの強化や運用監視体制の整備など、開発から運用まで一貫した品質管理の取り組みが重要です。

金融システムの品質保証やテスト体制の強化についてお悩みの方は、ぜひバルテスまでご相談ください。

また、バルテスでは金融システムにおける品質課題や、その解決に向けた具体的なアプローチについて解説したお役立ち資料を公開しています。

こちらもお役立てください。

この記事の監修者

布施 昌弘

布施 昌弘

バルテス株式会社 R&C部 副部長

様々なテスト対象(組込み系、Web 系、金融系)の現場でテスト設計、テスト管理などを行う。現在は、品質教育サービス「バルカレ」講師とコンテンツ制作、コンサルティングを担当する。JSTQB 認定 Advanced Level テストマネージャ。著書は、『【この1冊でよくわかる】 ソフトウェアテストの教科書 [増補改訂 第2版]』、『いちばんやさしいソフトウェアテストの本』。

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