ソフトウェアテストはソフトウェアの品質保証を行う重要な仕事です。しかし、それを行うテストエンジニアのスキルを証明するのは難しく、仕事を依頼する側にとって、本当に任せて大丈夫なのか?という判断は難しいといえます。テストエンジニアとして雇用して欲しい!と思っても、その人に本当にテストエンジニアとしてのスキルがあるか分からないと採用する会社としては躊躇します。また、ソフトウェア開発会社がテストはしっかりと行います!と顧客にアピールしても、顧客はそれを真に受けて良いかどうかを考えるでしょう。
そのため、公に認められているテストエンジニアの資格が必要です。資格を持っていれば、必要なスキルを持っている証明になります。資格を持っていない人と資格を持っている人であれば、当然、資格を持っている方を選ぶでしょう。とはいうものの、では実際にどんな資格を取得すればいいのか、資格取得のための学習はどうすれば良いのかと悩むでしょう。本記事ではそんなお悩みをお持ちの方のために、テストエンジニアの資格の紹介と、その学習方法について紹介します。
テストエンジニアの3つ資格
代表的なテストエンジニアの資格として、以下の3つが挙げれられます。
JSTQB認定テスト技術者資格は、国際的なソフトウェアテスト技術者認定組織であるISTQB(International Software Testing Qualifications Board)に加盟しているJSTQBが運営しています。そのため、日本だけでなく世界で通用する資格といえます。選択解答式の試験で2006年から実施されており、比較的知名度の高い試験です。2023年現在では、CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)形式となっており、好きな時に受験できるのもメリットの一つです。JCSQEソフトウェア品質技術者認定資格は、日本科学技術連盟が認定するソフトウェア品質向上のための資格制度です。
そのため、ソフトウェアテストのみではなく、ソフトウェア品質全体に関する内容となっています。こちらも選択解答式の試験になっていますが、実施時期は初級試験が年2回、中級試験が年1回となっており、決められた会場で実施されます。IT検証技術者認定試験(IVEC)は、IT検証産業協会(IVIA)が認定するテストエンジニアの資格試験です。上記2つの試験との大きな違いは、テストの現場における実務を重視しており、試験方式も選択解答式ではなく、PCによる記述形式となっています。年2回、決められた会場で実施されます。
【テストエンジニアの資格の比較】
資格名称 | 認定組織 | 内容 | 実施時期 | 受験料 |
JSTQB認定テスト技術者資格 | JSTQB | ソフトウェアテスト | 随時 | Foundation Level、Advanced Level 各22,000円 |
JCSQEソフトウェア品質技術者認定資格 | 日本科学技術連盟 | ソフトウェア品質 | 年2回 | 初級 15,400円 中級 20,900円 |
IT検証技術者認定試験(IVEC) | IT検証産業協会(IVIA) | ソフトウェアテスト | 年2回 | 19,800円~25,300円 ※レベル毎に異なる |
「何かしらのテストエンジニアの資格を取得したい!」「広く知られている資格を取得して、スキルを証明したい」といった理由であればJSTQB認定テスト技術者資格が良いでしょう。「ソフトウェアテストだけでなくソフトウェア品質全体の知識を習得・証明したい」のであればJCSQEソフトウェア品質技術者認定資格が合っています。「ソフトウェアテストの実務に沿ったスキルを習得したい」のであればIT検証技術者認定資格(IVEC)を目指すと良いでしょう。
JSTQB®AL(TM)資格に準拠したテストのマネジメントスキルを学ぶ
テストマネージャ編
JSTQB認定テスト技術者資格をもっと詳しく!
本記事では、広く知られている資格であるJSTQB認定技術者資格(以下JSTQB)についてもう少し詳しくご紹介します。JSTQBには、汎用的なソフトウェアテスト知識に関する基礎レベルとなる(Core)Foundation Levelと、上級レベルとなる(Core)Advanced Levelが存在します。(Core)Advanced Levelは、さらに「テストマネージャ」と「テストアナリスト」の2つの試験に分かれています(もう一つ「テクニカルテストアナリスト」がありますが、2023年8月時点では未実施)。
また、2021年3月には、専門分野の資格であるFoundation Level「自動車ソフトウェアテスト担当者」も実施されています。今後もJSTQB公式サイトでシラバスが配布されている「AIテスト」「モバイルアプリケーションテスト」「性能テスト」「テスト自動化」「アジャイルテスト」など、様々な分野・内容におけるテストスキルを認定する資格の追加が予想されます。
そのため、実際に関わる専門分野の資格を取得すれば、汎用的な知識だけでない、専門分野に特化したテストエンジニアであるという証明を行えるようになるでしょう。(Core)Foundation Levelには受験資格はありませんが、Advanced Levelを受験するにはFoundation Levelの取得と実務経験3年が必要です。最初は(Core)Foundation Levelにチャレンジすることになります。
最短で資格を取得するための学習方法とは?
(Core)Foundation Level試験の合格率は、JSTQB公式サイトによると約40%~75%となっています。大分バラつきはあるものの、しっかりと試験対策を行えば誰でも合格できるレベルです。公式サイトのページにはシラバスが公開されており、試験範囲の内容に関して一通り記載がされています。しかし、シラバスに記載されている内容を丸暗記すれば合格出来るというような簡単なものではありません。
試験には、K1記憶レベル、K2理解レベル、K3適用レベルの3つのレベルの問題が用意されているので、記載された内容を覚えるだけではなく、実際の状況に当てはめて選択できる力が求められます。実施した試験問題は持ち帰りが出来ないため、合格するまで何回も試験を受けるという対策はあまり効果的ではありません。また、複数回受験するのは受験料がもったいないため、以下の中から自分にあった学習方法を選択し、最短で合格するのが良いでしょう。
テストの専門家が体系化した3つのメニューから構成された
ソフトウェアテストの教育サービス
ソフトウェア品質教育サービス「バルカレ」のご紹介
【試験に合格する為の効率の良い学習方法】
- 公認書籍を読む
- 試験対策講座を受講する
- 試験対策のeラーニングを受講する
- 試験対策アプリで学習する
Advanced Levelに関しては、K4分析レベルも追加され、合格率もテストマネージャが約6%~34%、テストアナリストが約6%~42%と大分低くなります。さらに公認書籍が存在せず、個人での学習がしづらい試験となるため、よりしっかりとした対策が必要です。バルテスが提供しているeラーニングサービスにおいて、Advanced Level テストマネージャのみとはなりますが、動画コンテンツが日本で初めてJSTQBより公認を受けております。Foundation Level、Advanced Level テストアナリスト、Foundation Level スペシャリスト 自動車ソフトウェアテスト担当者も対策講座を取り揃えておりますので、ぜひこちらも参考下さい。
eラーニングサービス:https://www.qbook.jp/e-learning/
まとめ
「テストエンジニアの資格を取得し、スキルを証明しよう!」と題しまして、ご説明してまいりました。資格取得は、テストエンジニアとしてのスキルを証明するためのもっとも手っ取り早い手段です。
本記事で紹介した資格は、更新制の免許とは異なるため、一度取得すれば継続して自身のスキルの証明に使用できます。より多く資格の恩恵を受けるためにも、出来るだけ早い資格の取得をおススメします。
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