Loading...

最終更新日時:2025.01.29 (公開日:2025.01.29)

物流・倉庫業界におけるIoT導入の実例とその効果

2024物流問題が話題に上がる中、物流・倉庫業界における効率化・自動化が強く求められています。その一助になるのが、IoT(Internet of Things)です。IoTは小さなセンサーなどを活用してリアルタイムにデータを収集し、データドリブンな物流・倉庫業務を可能にします。これにより、物流プロセスの効率化や在庫管理の最適化が実現します。本記事では、物流・倉庫業界におけるIoT導入の事例とその効果について解説いたします。

物流業界におけるIoT導入事例

佐川急便では、RFIDを用いた効率的な資材管理を提案しています。RFID(Radio Frequency Identification)は、電波を用いて小さなRFタグの情報を読み取る技術です。RFIDを活用することで、資材の在庫管理やトラッキングが効率化され、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が実現します。

【佐川急便】工場内物流|TMS|ソリューション一覧|ロジスティクスソリューション

ヤマト運輸では、ドライブレコーダーとデジタルタコグラフを一体化した専用車載デバイスを利用して、集配車の運行データを収集しています。収集されたデータは配車の効率化はもちろんのこと、ドライバーの運転状況の改善や事故防止にも利用されています。

ヤマト運輸、IoT活用ですべての集配車に車載端末を導入 | IoT NEWS

三菱ふそうトラック・バスは、IoTと機械学習を組み合わせて、構内搬送車両の稼働最適化を進めると発表しています。部品搬送に用いる200台の構内搬送車両に対してIoTデバイスを搭載し、日々の業務における稼働状況を分析するとしています。

IoTや機械学習を用いた構内搬送車両の稼働最適化に着手:物流のスマート化 – MONOist

倉庫管理のIoT事例とその効果

ロジスティードでは、2021年9月から2024年3月まで経済産業省資源エネルギー庁公募事業「AI・IoTなどを活用した更なる輸送効率化推進事業」を実施していました。この事業では自動運転フォークリフトなどの効率化機器を導入し、トラックの荷待ち時間短縮を実現しています。

IoT活用で荷待ち時間半減、ロジスティードなど実証

NTTコミュニケーションズは、倉庫環境監視IoTソリューションという取り組みを大和ハウスとともに行っています。これは施設内の温度や湿度をリアルタイムで測定し、庫内の作業員の熱中症防止・インフルエンザ罹患リスクを低減します。

NTT Com、倉庫の労働環境をIoTで監視–大和ハウスが物流施設で活用 – ZDNET Japan

住友倉庫では、タブレットなどで出入庫や在庫状況を一元的に把握できるシステムi-Warehouse(アイウエアハウス)を開発しています。倉庫作業員がスキャナーで情報を読み取ると、Bluetoothでスマートフォンなどとデータが共有されます。従来の紙媒体での管理に比べ、全体の作業時間を約20%短縮されています。

ECサイトにおけるIoT活用事例

IoTを活用した物流・配送の最たる例がECサイトです。Amazonでは、商品の在庫管理や配送状況をリアルタイムで把握するために、IoTデバイスを活用しています。また、ピッキングや倉庫オートメーションを支える技術としてIoTが徹底的に活用されています。

Amazonが展開する最新の倉庫オートメーション、新世代の倉庫ロボットたち | 株式会社フォーバル

日本ではサービスは終了してしまいましたが、ZOZO SUITはサイズ計測のためのウェアです。正しいサイズを計測して、そのサイズに合ったアパレルを選択できる仕組みです。現在はアメリカにて、ZOZOFITとしてサービスを継続しています。

3D body measurement & tracker by ZOZOFIT | Body fat percentage, BMI

ECサイズにおけるIoT活用は、物流のボトルネックを解消し、顧客体験の向上にもつながっています。なお、バルテスでは衣料品・雑貨等の企画・製造・販売を行うアダストリア社向けのテスト品質支援も行っています。事例は以下よりご覧いたします。

株式会社アダストリア様 – VALTES テストサービス

IoT導入の課題と成功へのポイント

IoT導入を成功に導くためのポイントとして、IoTは以下の3つのパーツに分割できます。

  • センサーデバイス
  • ネットワーク
  • クラウド(サーバー)

センサーデバイスはごく小さく、大量に配備できるものでなければなりません。プロトタイピングはRaspberry PiやArduinoを使えますが、実運用時には専用デバイスを開発することが多いでしょう。それにより、低消費電力で安定した運用が可能になります。

次にネットワークは、センサーデバイスからクラウドまでの通信を担当します。センサーデバイスはバッテリー駆動であることが多いため、通信の頻度やデータ量を最小限に抑えることが求められます。また、通信の安定性も重要です。スマートフォンやコンピュータのように常時接続環境は実現が難しく、かつネットワーク速度が遅いケースも多いです。

最後にクラウド(サーバー)です。センサーから収集したデータを分析し、そこから何らかの価値を生み出します。さらに、分析結果によってはデバイスの動作を変更するといった、カスタマイズも必要になります。そうしたサーバーとデバイス間の双方向通信の仕組みも必要でしょう。

成功事例から学ぶ導入のポイントと今後の展望

これらの課題を踏まえて、成功事例から学べるIoT導入のポイントです。

– ビジネス課題を明確にする

– プロトタイピングを繰り返す

– セキュリティを考慮する

IoTを導入してどういったビジネス課題を解決したいのか、それを明確にしましょう。まずデータ収集からはじめてもうまくいかないことが多いです。課題が明確になれば、どういった方法やデバイスが必要なのかも分かってきます。

そして、一度の導入で完了すると考えない方が良いでしょう。プロトタイピングを開発してテストし、改善を繰り返す必要があります。特にセンサーを多数配備してからの変更は容易ではないので、事前に十分な仮説検証を行いましょう。

また、IoTプロジェクトではセキュリティも重要です。IoTデバイスはネットワークに接続されるため、セキュリティ対策を怠らないようにしましょう。不正な侵入を許してしまうと、センサーのデータを読み取られる、または逆に送られる可能性があります。IoTデバイスにはスマートフォンやコンピュータのようなセキュリティが施されている訳ではなく、自分で実現する必要があります。

まとめ

今回は物流・倉庫業界におけるIoT導入事例と課題について紹介しました。EC市場が拡大する中、物流・倉庫業界にはさらなる進化が求められています。その一端を担うのがIoTになります。

IoT導入は十分なテスト、仮説検証、セキュリティ対策が欠かせません。ぜひ今回紹介した事例を参考に、自社のビジネスへのIoT活用を検討してください。

当サイトでは、テスト技法を学びたい方、アジャイル開発やマイグレーションのテスト手法について知りたい方、テストアウトソーシングサービスに興味のある方へ、ダウンロード資料を多数ご用意しております。ぜひダウンロードいただき、資料をご活用ください。

CONTACT

お問い合わせ

バルテスでソフトウェアの品質向上と安全を手に入れよう