パフォーマンスとは、システムの性能のことです。システムが特定の条件下でどれだけ効率的に動作するかを示します。
特に、WebアプリケーションやSaaSなどの品質保証においては、パフォーマンステストが重要な役割を果たします。
ユーザーが快適にサービスを利用できるようにするためには、システムのパフォーマンスを事前に評価し、問題点を洗い出すことが不可欠です。
本記事では、パフォーマンステストの基本概念から実施方法、品質保証における重要性について解説します。
パフォーマンステストとは
「パフォーマンステスト」は、システムの性能(パフォーマンス)を評価するためのテスト手法です。そのため、「性能テスト」とも呼ばれます。
パフォーマンスは認証やデータ登録などの機能ではないため、非機能要件の一つに挙げられます。主に、以下のような目的で実施されます。
- システムの応答速度や処理能力が要件を満たしているか確認する
- ユーザー数の増加に伴うシステムの挙動を評価する
- ボトルネックやパフォーマンスの問題を特定する
- システムのスケーラビリティを評価する
パフォーマンステストはシステムの立ち上げ、更新時はもちろん、運用を続ける中で定期的に実施することが推奨されます。定期的に実施することで、データ増やアクセス増に伴うパフォーマンスの低下を早期に発見し、改善策を講じられます。
パフォーマンステストの種類
パフォーマンステストの中では、以下のようなテストを実施します。
- 負荷テスト
- ストレステスト
- スパイクテスト
- 長時間テスト
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 負荷テスト
負荷テストは、システムに対して一定の負荷をかけ、その応答性や安定性を評価するテストです。通常、予想される最大ユーザー数やトランザクション数をシミュレートし、システムがその負荷に耐えられるかを確認します。
負荷テストでは、システムがパフォーマンス要件を満たすかどうかを確認するテストになります。そのため、すべてのテストに合格しなければ、システムをリリースできないのが基本です。
2-2 ストレステスト
ストレステストは、システムに対して通常の運用範囲を超えた負荷をかけ、その限界を評価するテストです。これにより、システムがどのように応答するか、またはどのように失敗するかを観察し、ボトルネックや脆弱性を特定します。
ストレステストは必ずしも合格しなければならないものではありませんが、大量のデータ送受信に対してデータ保全に問題が出たり、メモリリークが起きたりするといった事象が確認された場合には修正対応が必要です。
2-3 スパイクテスト
スパイクテストは、短期間に急激な負荷をかけてシステムの挙動を評価するテストです。これにより、システムが急激なトラフィックの増加にどのように対応するかを確認できます。
メディアへの露出など、突然のアクセス増があった場合の動作確認をする際に有効です。システムエラーの出方や、データベースの状態などを確認する上でも有効です。
2-4 長時間テスト
長時間テストは、システムに対して長時間にわたって負荷をかけ、その安定性やリソースの消費状況を評価するテストです。これにより、メモリリークやリソースの枯渇など、長時間稼働時の問題を特定できます。
システムは人手を介さず、長時間運用し続けられるのが理想です。そのため、GC(ガーベジコレクション)やメモリリーク、CPU使用率の上昇など、長時間稼働時に発生する可能性のある問題を事前に検出するのに有効です。
★パフォーマンステストと機能テストの違い
パフォーマンステストと機能テストは、以下のような違いがあります。

パフォーマンステストがシステムの性能を評価するのに対し、機能テストはシステムが正しく動作するかを確認することに焦点を当てています。両者は相互に補完し合い、システム全体の品質を保証します。
パフォーマンステストで確認すべき主な指標
先に挙げたテスト項目に沿って、パフォーマンステストでは以下のような指標を確認します。
-
レスポンスタイム
ユーザーのリクエストに対するシステムの応答時間 -
スループット
一定時間内に処理できるリクエストの数 -
CPU使用率・メモリ使用量
システムのリソース使用状況 -
エラーレートやタイムアウトの発生状況
リクエストに対するエラーの発生率やタイムアウトの頻度
これらの指標を測定し、システムのパフォーマンスを定量的に評価します。
各指標を記録し続けることで、徐々にパフォーマンスが低下しているかどうかを確認できます。
特に、長期間の運用を続ける中では、扱うデータ量は徐々に増加します。また、サービスの認知、利用者が増加するのに伴ってアクセスも増えていくでしょう。そういった要因でシステムのパフォーマンスは徐々に低下していきます。
定期的にパフォーマンステストを実施することで、そういった問題を未然に発見、対応できるでしょう。
パフォーマンステストの実施フロー
パフォーマンステストの実施フローは以下のステップで進めるのが一般的です。
- テスト計画の立案と目標設定
- テストシナリオの設計(ユーザー行動モデルの設計)
- テスト環境の構築とツール選定
- 実行とモニタリング
- 結果の分析と改善提案
それぞれ詳しく解説します。
ステップ1.テスト計画の立案と目標設定
テスト計画ではテストの目的、範囲、スケジュール、リソースを明確にします。また、テストの成功基準や目標値を設定し、どのような結果が期待されるかを定義します。
システムリリース時に策定した数値目標をベースにするケースもあれば、ハードウェアやインフラの変更に伴って数字全体を見直すこともあります。
ステップ2.テストシナリオの設計(ユーザー行動モデルの設計)
この工程では、実際のユーザー行動を模擬したシナリオを設計します。これは、実際の使用状況に近い形でシステムのパフォーマンスを評価するためです。不具合を発見するのが目的ではないため、異常系のテストは一般的ではありません。
たとえば認証周りやデータ検索、注文、管理画面での処理などユーザーが行う一連の操作をシナリオとして扱います。
ステップ3.テスト環境の構築とツール選定
テスト環境は、本番環境に近い構成で構築することが理想です。ホットスタンバイされている環境の利用や、本番環境と同じインフラを一時的に構築して実施します。本番環境を直接テストすることは避けるべきです。
また、ほかの開発環境やテスト環境とは別の環境の方が望ましいです。システムに負荷をかけることによって、ほかの業務に影響することが多いので、独立した環境を準備する方が良いでしょう。それが難しい場合は、パフォーマンステストとほかのテストのタイミングが重複しないようにスケジューリングします。さらに、データベースに大量の書き込みをすることも考えられるので、切り戻しができるように事前に準備しておくことが重要です。
パフォーマンステストは、専用のツールを使用して実施することが一般的です。代表的なツールには、JMeter、Gatling、LoadRunnerなどがあります。手作業では十分な負荷をかけるのは難しいため、ツールを利用した自動化が推奨されます。
ステップ4.実行とモニタリング
テストシナリオに基づいて、実際にパフォーマンステストを実行します。テスト中は、システムの応答時間やリソース使用量をリアルタイムでモニタリングします。この時点で大きな問題があればテストを中断し、原因を特定して修正します(特にリリース前など)。
ステップ5.結果の分析と改善提案
テストが完了したら、収集したデータを分析します。レスポンスタイムやスループット、リソース使用量などの指標を評価し、システムのパフォーマンスが目標を達成しているかを確認します。
ボトルネックやパフォーマンスの問題が特定された場合は、改善策を策定します。改善策として、たとえばコードの最適化やインフラの強化、キャッシュの導入などが含まれます。これらの改善策によって、開発チームやインフラチームなどフィードバック先が異なるでしょう。
パフォーマンステストで得られる3つの効果
最後に、パフォーマンステストが品質保証において果たす役割についてまとめます。
5-1 ユーザビリティの向上
パフォーマンステストを実施することで、ユーザビリティの向上が期待できます。
なぜなら、システム応答速度や処理速度など、ユーザビリティに直結する品質を測定することで改善ができるからです。
また、リリース直後は問題なかったとしても、徐々にパフォーマンスが低下するということが多々あります。そうした劣化についても、定期的なパフォーマンステストの実施によって未然に発見できます。
5-2 システムの信頼性向上
ストレステストや長時間テストを実施することで、システムが高負荷や長時間の運用に耐えられるかを確認できます。
こうしたテストを通じて、システムの安全性や堅牢性が担保され、信頼性信頼向上につながります。
システムを長期間安定して運用できることは、開発チームにとっても大きな安心材料となり、開発に集中できる環境を提供します。
5-3 ボトルネックの早期発見
システムのボトルネックを早期に発見できるというメリットもあります。
アプリケーションやデータベース、ネットワーク、インフラなどのいずれかの部分が原因でパフォーマンスが低下しているケースは多々あります。
パフォーマンステストを通じて、そのいずれか(または複数)に問題があるのかを確認でき、改善策を講じられるでしょう。
まとめ
本記事では、パフォーマンステストの基本とその重要性、実施方法について解説しました。
主なテストは以下の4つです。
・負荷テスト
・ストレステスト
・スパイクテスト
・長時間テスト
パフォーマンステストは、システムの品質保証において欠かせない要素であり、ユーザビリティや信頼性を向上させるために重要な役割を果たします。
また、定期的な実施によってシステムのパフォーマンスを確認し、ボトルネックの早期発見や改善策の策定が可能になります。
バルテスはテスト専門企業として、パフォーマンステストサービスを提供しています。
柔軟なテストシナリオや原因分析と改善策の提案を通じ、お客様のシステムの品質向上を支援しています。パフォーマンステストに関するご相談やサービスについては、ぜひバルテスまでお問い合わせください。
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