ソフトウェア開発の現場において、担当者によってテストのやり方が異なる(属人化)、テストのボリュームが大きすぎて対応しきれない(リソース不足)、網羅性の担保ができておらず品質に不安が残る、といったテスト・品質面の課題は多いのではないでしょうか。
そのような課題に対する解決方法として、テストプロセスの標準化が挙げられます。
本記事では、テストプロセスの流れと、標準パターンを整え、現場に合わせた運用するための方法について解説していきます。
テストプロセスとは
テストプロセスとは、ソフトウェアやシステムの品質を確保するために行うテスト活動を、一定の手順・流れとして体系化したものです。
場当たり的にテストを実施するのではなく、「いつ・何を・どのように確認するのか」を明確にすることで、品質の抜け漏れを防ぎ、効率的なテストを実現できます。
一般的にテストプロセスは、国際規格であるJSTQB(日本ソフトウェアテスト資格認定委員会)などでも定義されており、多くの開発現場で共通の考え方として採用されています。
テストプロセスを理解することは、品質向上だけでなく、開発チームとの円滑なコミュニケーションにもつながります。
テストは以下のような流れで進行します。

これらは独立した工程ではなく、状況に応じて見直しやフィードバックを繰り返しながら進められる点が特徴です。

各プロセスの概要
テストプロセスは、テスト目的を達成する確率を高めるための汎用的なテスト活動の集合です。
これらの活動は論理的には順序立っているように見えますが、実際のプロジェクトでは反復的または並行して実施されることが一般的です。また、各プロセスはプロジェクトのコンテキストに応じて調整されます。
ここでは、JSTQB Foundation Level シラバスに基づき、テストプロセスを構成する各活動の概要を解説します
2-1 テストの計画
テスト計画は、テストの目的を定義し、その目的を制約条件の中で最も効果的に達成するためのアプローチを決定する活動です。
具体的には、テスト範囲、テスト方針、スケジュール、体制、リスク、必要なリソースなどを明確にします。
テスト計画は、後続のすべてのテスト活動の判断基準となるため、テストプロセスの中でも中核となる工程です。
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2-2 モニタリングとコントロール
モニタリングとコントロールは、テスト活動全体を継続的に監視し、計画との差異を把握・是正するための活動です。
テストの進捗状況や欠陥状況を定期的に確認し、必要に応じてスケジュールやテスト内容の見直しを行います。
この活動により、テスト目的の達成に向けて適切な判断と調整が可能となります。
2-3 テスト分析
テスト分析では、仕様書や設計書などのテストベースを分析し、テスト可能なフィーチャーを識別します。
さらに、テスト条件を定義・優先順位付けし、関連するリスクやリスクレベルを評価します。
この工程では、テスト対象に潜在する欠陥を見極めるとともに、「何をテストするか(What to test)」を明確にします。
2-4 テスト設計
テスト設計は、テスト分析で定義したテスト条件を、具体的なテストケースやテストチャーターなどのテストウェアへ落とし込む活動です。
入力値、期待結果、カバレッジアイテムを定義するとともに、テストデータ要件やテスト環境の設計も行います。
この工程では、「どのようにテストするか(How to test)」に答える役割を担います。
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2-5 テスト実装
テスト実装では、テスト実行に必要なテストウェアを作成または取得します。
テストケースをテストプロシジャーとして整理し、テストスイートにまとめるほか、手動・自動テストスクリプトを作成します。
また、テスト環境を構築し、正しく設定されていることを確認します。
2-6 テスト実行
テスト実行は、テスト実行スケジュールに従ってテストを実施する活動です。
実行結果を期待結果と比較し、結果を記録します。不正が見つかった場合は原因を分析し、欠陥として報告します。
テストは手動・自動を問わず、継続的テストやペアテストなど、さまざまな形態で実施されます。
2-7 テスト完了
テスト完了は、リリースやイテレーション終了などのマイルストーンにおいて行われる活動です。
未解決の欠陥や変更要求を整理し、将来再利用可能なテストウェアを保管・引き渡します。
また、テスト活動を振り返り、教訓や改善点を整理するとともに、テスト完了レポートを作成してステークホルダーに共有します。
テストプロセスを標準化する方法
テストプロセスを標準化し、品質を安定させたいと考える企業は多く存在します。しかし実際には、テストプロセスの標準化は容易ではありません。
社内標準としてプロセスを定義しても、以下のような課題が生じがちです。
- 現場に合わず形骸化してしまう
- ドキュメント作成が目的化する
- プロジェクトごとの差異に対応できない
ソフトウェア開発には同じ現場が一つとして存在しないため、一律のプロセスを押し付けるだけでは、現場で機能しないのです。
そこで重要となるのが、「完璧なテストプロセスを作ること」ではなく、現場で使われ続けるテストプロセスを標準として定義するという考え方です。
バルテスでは、現場実態を重視したテストプロセス標準化のアプローチとして、次の2つを軸に支援を行っています。
1つ目は、プロジェクト全体を俯瞰し、各工程で誰がどの品質をどのように担保するかを整理する「品質戦略マップ」によるアプローチです。開発全体の品質戦略を明確にすることで、結果としてテストプロセスも無理なく標準化されます。
2つ目は、体系化されたテストメソッド「QUINTEE」を活用したアプローチです。テスト計画段階でスコープを明確にし、設計漏れを防ぎ、段階的なテスト実施と成果物の蓄積を通じて、実プロジェクトの中から標準化を定着させていきます。
このように、テストプロセス標準化において重要なのは、現場を起点にし、プロジェクトに適応できる柔軟性を持たせることです。
現場で機能する標準化こそが、継続的な品質向上につながります。
まとめ
ソフトウェア開発の現場では、属人化やリソース不足、テスト網羅性の課題など、品質に関する悩みがつきものです。こうした課題に対しては、テストを個人任せにせず、テストプロセスとして整理・標準化することが有効なアプローチとなります。
テストプロセスは固定的な手順ではなく、プロジェクトの状況に応じて調整されるものです。だからこそ、現場で無理なく使われ続ける形で標準化を進めることが、品質の安定化と効率向上につながります。
テストプロセスの整備や標準化に課題を感じている場合は、ぜひバルテスにご相談ください。
現場実態を踏まえたテストプロセス構築・運用のご支援を通じて、継続的な品質向上をサポートします。


