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最終更新日時:2025.12.09 (公開日:2023.08.22)

プロが教える!テスト仕様書の書き方と「わかりにくい」を解消するポイント

プロダクト開発における検証の重要性が高まりつつある昨今、「テスト仕様書」の作成に課題を感じている企業・開発チームも多いのではないでしょうか。
今回は、「何を書いたらいいのかわからない」「作ったはいいけど別のメンバーがうまく使えない」など、テスト仕様書に関する悩みを解決するヒントとなる書き方のポイントを解説します。
無料でダウンロードできるテスト仕様書のサンプルもご紹介しますので、現場でお困りの方はぜひ最後までご覧ください。

テスト仕様書とは?

テスト仕様書とは、ソフトウェアやシステムのテストを実行するための計画や手順、条件などを文書化したものです。テストの「設計図」や「チェックリスト」のような役割を果たします。

現場によっては、テスト仕様書を「テストケース」と呼ぶ場合もありますが、本記事では「テストケース」の集まったファイルを「テスト仕様書」と定義して話を進めていきます。

テスト仕様書は、テストケース以外にも、以下のようなドキュメントを内包している必要があります。

  • テストを開始するまでのスケジュール情報
  • 環境設定
  • 環境使用における注意ポイント
  • データの集計シート

テスト仕様書に含まれるさまざまなドキュメントの中で、メインのドキュメントといえるのが「テストケース」です。そして、その他のドキュメントについてはテストケースの実行が滞りなく進行できるように補助的なものとして、必要に応じた内容のものを付け加えるようにしましょう。

それではテスト仕様書のイメージがついたところで中身について解説していきます。

テスト仕様書に記載すべき項目・内容

テスト仕様書の内容で最低限おさえておくべき項目は以下の通りです。

  1. テスト概要
  2. 実行条件
  3. 実行手順
  4. 期待結果

各項目について一つずつご紹介します。

2-1 テスト概要

「テスト概要」とは、端的に言えばテスト手順ごとの「タイトル」です。

テストの実行作業において、一連の手順によって何を確認するのかが一目で分かるかといった考え方は非常に重要です。
テストの作成時点でケースの重複や不足を防いでくれたり、テスターが実行内容を確認しやすくなるためコミュニケーションエラーが減ったりするメリットが期待できます。

2-2 実行条件

「実行条件」はテストを実行する際の条件です。

ソフトウェアのテストでは様々な条件の考慮が欠かせません。例えばデータ取込のテストの場合、以下のような点を定義する必要があります。

  • データの形式は?
  • データのサイズは?
  • 一度にいくつのファイルを取り込む?
  • システム側の取込方式は?
  • 内容によるデータの選別は?

上記のように、テストケースの手順を開始する前に整えておくべき、スタートラインを定義するものが「実行条件」となります。

2-3 実行手順

「実行手順」は、実際にテスターがシステムを操作する内容を一つずつ記載したものです。

内容は「具体的」「簡潔」を意識することでより良いものになります。特にシステムを理解している方が仕様書を作成する際は、抽象的に記載してしまうことが多々あります。
しかし曖昧な記述をすると、再現性が低下したり、特定の担当者へ依存してしまったりなど、テスト効率が下がってしまいます。そのため誰が見ても同じ手順を踏めるように具体的に記述することが重要です。

2-4 期待結果

「期待結果」は、「実行条件」を基に「実行手順」を流した結果として、「何を確認したいか」を明確に記載する箇所です。
実行手順と同様で「わかりにくい」記載が発生しやすい箇所なので、抽象的な表現は避けるようにしましょう。

(例1)
×:「正しいメッセージが表示される」
○:「『ログインに成功しました』というメッセージが画面上部に表示される」

(例2)
×:「レイアウトが崩れていないこと」
○:「ボタンが中央に配置され、テキストがはみ出さず表示されていること」  

テスト仕様書の「わかりにくい」をなくす!書き方のポイント

テスト仕様書が「わかりにくい」と感じる主な原因は、抽象的で曖昧な記述にあります。

作成者自身は気づきにくく、無意識のうちに曖昧な表現を使ってしまうことも少なくありません。
例えば「プルダウンを選択する」「入力する」「処理結果が正しいこと」といった表現は、一見すると問題なさそうですが、実行者が迷いや誤解を招く曖昧な記述です。

「何を選ぶのか」「どんな値を入力するのか」「どのような状態が“正しい”のか」が明確でなければ、テスト結果の信頼性が損なわれます。

テスト仕様書を明確にするためには、以下のような具体的な記述が求められます。

  • 手順には具体的な操作内容を記述する(例:「プルダウンから『項目A』を選択する」)
  • 入力値は固定値や有効値の条件を明示する(例:「テキストボックス“氏名”に“田中太郎”と入力」)
  • 期待結果は判断基準を明示し、客観的に記述する(例:「確認画面に遷移し、『登録内容を確認してください』と表示される」)

ただし、具体的に書こうとするあまり、冗長な表現にならないよう注意も必要です。
冗長さを避けるためのポイントとしては、以下の点などが挙げられます。

  • 一文に同じ助詞を繰り返さない
  • 「、」は1つまでにする
  • 一文40文字以内を意識する

わかりやすく、簡潔で誤解のない仕様書は、テストの精度と効率を高め、結果として製品品質の向上にもつながります。
曖昧さを排除し、「誰が読んでも同じように理解できる」仕様書づくりを心がけましょう。

バルテスでは、ISO/IEC/IEEE 29119(以下、29119規格)に対応したテスト計画プロセスに関するテンプレートを公開しています。

>>テストドキュメントテンプレート(ISO/IEC/IEEE 29119対応)

無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

★テスト設計をAIで自動化する「TestScape」

「TestScape」はバルテスが開発したAIテスト設計ツールです。
バルテス独自のAIが仕様書を読み込み、テストケースを自動生成します。その過程で、テスト設計書などの中間生成物も自動的に作成します。
テストの抜け漏れや、テスト担当者への負担増加、テストの属人化などの課題を解消したい方におすすめです。

まとめ

本記事では、「何を書けばいいのかわからない」「他のメンバーがうまく使えない」といった現場の課題に対して、テスト仕様書の基本構成と、伝わる書き方のポイントを解説しました。

特に重要なのは、「抽象的で曖昧な表現」を避け、具体的・明確・簡潔に記述することです。

テスト概要・実行条件・実行手順・期待結果のそれぞれにおいて、誰が見ても同じように理解・実行できる内容にすることで、テストの精度や効率が飛躍的に向上します。

テスト仕様書を作成する際は本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。

また、ISO規格(29119)に対応したテストドキュメントテンプレート一式も無料でダウンロードいただけますので、ご活用ください。

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